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ブレーメン裁判所がグリーンシル・キャピタルの独銀行子会社、グリーンシル銀行の破産手続きの開始を決定。ドイツの地方自治体などに損失が広がる可能性がある、と指摘される。発端はグリーンシル・キャピタルが運営していたファンドが資産凍結になったことであったため、”いつか来た道”に見えなくもなく、これがきっかけでいよいよバブル的な様相が崩れるのではないか、という懸念も聞かれるようになっている。また、これからドイツの地方自治体を含め、関連損失が計上されてくるとも言われており、懸念が膨らむ。

しかし、現段階で、このグリーンシル・キャピタル問題がきっかけでバブルが終了、値崩れを起こすとは考えていない。第一に、規模の違いである。世界金融危機の際の問題はサブプライムローンであった。2005年末の米国モーゲージ市場はおよそ1000兆円、このうちサブプライムローンは120兆円程度であった。これに対し、今般のファンドが対象としている資産は英国の銀行による中小企業向け貸し出しで、約30兆円程度。市場の全体感は違うことがわかる。第二に、先のサブプライムローン問題はそのもののデフォルトというより、それを参照債権とした証券化商品によってリスクが波及したが、今回は複雑な商品というより、せいぜい債権流動化のようである(実際はどうだったか、Baffinなど金融当局の報告を見る必要があるが)。以上より、現時点では、グリーンシルが特別のケースとして処理され、バブル崩壊懸念の前兆になると考えるのは行き過ぎではないだろうかと考える。

もっともなぜこのグリーンシルに資金が集まったかといえば、中小企業金融は英国の政治家にとって肝いりであったということやフィンテックというラベルがついたことなど、これまでのクレジット市場にあった罠に似た面がある。単発のリスクか、連鎖するリスクか。経過観察は怠らないようにしなければならない。

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