地方銀行の置かれた運命に国がやるべきこと

地方銀行とは、各地方を中心に営業を展開している普通銀行で全国地方銀行協会加盟銀行。第一地銀64行、第二地銀40行(一般社団法人全国地方銀行協会)。預金量は平成30年10月末現在、それぞれ261兆、65兆円で、貸出金は同205兆、51兆円という規模感。

2018年4-9月期の地銀上場80社の連結決算を見ると、最終損益が減益か赤字に陥ったのが全体の7割に上った。日銀は2018年10月版金融システムレポートを発表したが、一貫して“地方銀行が置かれた運命の厳しさ”が浮かび上がるものとなっている。

同レポートによると、第一に貸出動向。国内貸出の増加のけん引役は地域銀行だが、地元回帰の貸出が伸びていると解説する一方で、債務者区分が正常先下位の増加が増えていると解析。景気拡大による裾野の拡大というポジティブな見方ができる一方で、貸出残高維持のため、リスクテークを進めていると見ることもできる。第二にマージン。マイナス金利の適用もさることながら、競争激化の中、貸出規模の小さい地域銀行程、金利がより低下している模様。第三に有価証券投資。地域金融機関は円債、外債、株式の残高を減らす一方で、投資信託等を積み上げている。リスク性資産の増加を伴うポートフォリオのリバランスが続いているが、かといって、過度なリスクを取ることは預金取り扱い金融機関として否定されたまま。

そもそも人口減少が視野に入り、地方から東京への一極集中が続いている。預金量も東京に集まりがちとなるのはまさに構造変化であり、簡単には修正できない。これもだめ、あれもだめの八方ふさがりの中、地銀はいかに起死回生のショットを打てばよいのか。

11月6日、政府の未来投資会議において、安倍首相は、地銀とバスの統合について、独占禁止法が経営統合促進の妨げにならないよう緩和の検討を指示したとされる。オーバーキャパシティの場合、再編機運は避けられないことである。

ただし、“生き残りを賭けて”の再編統合を外から後押しされても悲壮な気分になろう。ここは「運命に光彩を」。預金者保護を徹底しながら、より強い体制へと進化していく時と前向きに捉えたい。貸出をし、預金を集めるというこれまでの銀行業はフィンテックやITを駆使し、最小人員でこなす一方で、銀行業に留まらない新たなビジネスを仕掛けてもらうしかない。各地の優秀な人材が集中している地銀なら、選択肢はあるのではないか。その意味では地銀の統合再編の後押しだけでなく、新しいビジネスを後押しする仕組みや規制緩和こそ国は進めていく必要があるのではなかろうか。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO37952600Z11C18A1EE9000/

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