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ゲームショーにみる関連文化の存在感=ドイツ

ドイツのケルンでこのほど、国際ゲームショー「ゲームズコム」が開催されました。ゲーム会社の出展がメインですが、アニメやコスプレも盛んなようです。今回はそのあたりの事情について考えてみたいと思います。なお、筆者は現地入りしなかったので情報ソースはネットがメインとなります。

日本経済新聞は8月24日付けでこの「ゲームズコム」を取り上げ、「インディーゲーム」のエリアが盛況だったと伝えています。

一方で筆者がネットの情報を見る限りですが、気になったのはアニメやコスプレといったゲームと親和性の高い関連分野の存在感でした。

まずは今年の開催結果を公式プレスリリースからおさらいしておきましょう。

今年の「ゲームズコム」には、世界100カ国以上から26万5000人が参加しました。世界53カ国から1100の出展があり、このうち75%はドイツ国外からでした。ハイブリッド開催となり、オンラインでも関連イベントが実施され配信番組のVeiw数は合計1億3000万回を超え、開幕式となる「オープニング・ナイト・ライブ」のView数は1200万回でした。

大規模なリアル開催が復活した「ゲームズコム」では、バンダイナムコがゲーム「ワンピース オデッセイ」の試遊台を設置した大型ブースを展開していたようです。このブースは「ゲームズコム」から「ベスト・ブース」として表彰されました。

また、アニメ配信大手のクランチロールは大規模なブースを設置し、ドイツ部門を運営するKAZÉ Deutschlandがそのもようを動画で紹介しています。『ONE PIECE FILM RED』、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』などをアピールしていますね。

そして、アトラスの『ソウルハッカーズ2』のブースでは、ドイツの有名コスプレイヤーが公式コスプレイヤーとしてブースを盛り上げていたようです。Calssaraさん、Shirokuさんのお二人は、名古屋で開催される世界コスプレサミットのドイツ代表に選ばれるほどの有力コスプレイヤーです。

コスプレといえば「ゲームズコム」にはコスプレイヤーが集まる交流の場「コスプレ・ヴィレッジ」が設けられ、主催者側もコスプレ文化の取り込みに意欲的です。そのあたりの模様は筆者も過去に現地取材を行い紹介しました。

以上、筆者目線で「ゲームズコム」を紹介してみました。ここで、ゲーム、アニメ、コスプレの親和性について考えてみたいと思います。

まず、ワンピースのゲームが大々的に紹介されるのは異論はありません。ゲームだからです。気になったのはクランチロールの動向です。筆者の見る限り、クランチロールは今年もドイツ各地のアニメイベントに出展していますが、今回のゲームズコムでのブースは最大規模です。アニメイベントよりも大きいのです。
そこには来場者数も関係するでしょう。アニメ関連のイベントで今年最大なのは「ドコミ」の7万5000人でした。ゲームズコムは26万人ですから、ゲームプレイヤーとアニメ視聴者は必ずしもイコールでないことを差し引いても、かなり大きなポテンシャルを見込んでいるのではとうかがえます。
日本人なら肌感覚で、ゲーム好きとアニメ好きは重なる部分が多いと理解できるでしょうが、「ゲームズコム」はそれを改めて感じさせました。日本から海外に向けてアニメ文化/産業を展開する場合、こういったゲームショーの存在も重要になるのかもしれません。

また、公式ブースでのコスプレイヤーの動員については、筆者は過去にも現地で見てきました。日本なら当たり前かもしれないことがドイツでも成立しているのは、ある意味驚きとは言えないでしょうか。そこには、ドイツのコスプレイヤーの層の厚さが担保するクオリティーが存在するように思えます。

冒頭の「インディーゲーム」に話を戻せば、日本からも「ゲームズコム」のような大舞台に積極的に参加してもよいのでは?と筆者は考えるのです。そこでは日本のアニメやマンガといった慣れ親しんだコンテンツも理解される土壌もあれば、コスプレ文化もあるわけです。日本からコスプレイヤーに協力してもらってもいいし、協力者を現地調達するこも可能になっていると言ってよいでしょう。

以上、今回はゲームショーのゲーム以外の魅力について考えてみました。皆さんはどう思われますか?


タイトル画像:ライン川対岸から望むケルン大聖堂。「ゲームズコム」の会場はこのすぐ近くです。昨年秋に筆者が撮影。

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