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4月の英国消費者物価指数は前年同月比8.7%となった。これまで二桁の伸びをしていたのに比し(前月は同10.1%だった)、電気・ガス代の下落を背景にトーンダウンしてきている、という見方も可能だが、どちらかというとエネルギー価格の下落の割には物価指数が落ちていないと見るべきであろう。コア指数が6.8%と、30年ぶりの高さにあることも気になるところだ。

こうしたむしろ強めと見るべき消費者物価動向を見る限り、BOEの金融政策はより引き締める必要があると考える。従前は6月には25bpの金利引き上げを決めると考えていたが、更に強める可能性があること(といっても、50bpに引き上げ幅をあげるというよりは、6月、8月の二回25bpずつ引き上げる公算が大きいと見ている)、最終的なターミナルレートは4.75%から5%まで引き上がる可能性が出てきているということである。

英国の消費者物価指数が高いと見る理由は三つ。第一に、CPIを形成する価格に強いものが含まれている。中古車価格などはその典型例である。第二に、世界中の傾向ではあるがサービス価格が高いこともある。BOEの見通しでは、3月のサービス価格6.6%と同等程度と見ていたものが、4月は同6.9%であった。こうしたサービス価格の上昇は賃金の上昇と相関が高いと見られるため、この賃金上昇をどう見るかで今後の傾向は変わる可能性がある。しかし、現状では強い推移をしている。第三に、食料や飲料のインフレの反動が予想よりも低かったことがある。これらの価格は家計に直結しているものであり、家計がインフレ期待をあまり下げられないことにつながる可能性があると言える。

CPIの動向から考える限り、英国も物価抑制を先に行うことが重要である。景況感は落ちている中で金利を上げなければ物価が抑制できないジレンマを、BOEも持たなければならない。しかも、その時間帯が長引くのではないか、と考える。


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