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急増する認知症と予備軍 スマホが生活を支える重要なインフラに

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

「2025年問題」が近づいてきています。以前本コラムでも触れましたが、人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会が本格化するというものです。

個人的な話ではありますが、昨年に急に始まった義母の介護により圧倒的当事者となりまして、解像度の低かったこの問題への意識が高まりました。私は日本のモバイルインターネット創生期からスマホへの移行、IoTなどに携わってきました。ここにきて、まさにこれらのテクノロジーは超高齢化社会のために役に立つと確信しています。

現時点でみると、高齢者のスマホ利用率は低いです。総務省による「令和4年通信利用動向調査」によると日本のスマートフォンの保有率は77.3%である。対して、70代のスマートフォンの保有率は60.6%、80歳以上では27.3%と全体の保有率より低い結果が出ています。

しかし、別のデータ(モバイル社会研究所 2023年3月)60代93%(前年比+2)、70代79%(前年比+9)となっています。調査パネルが1都6県で数も少なめであることは考慮すべきでしょうが、3Gが終了したこともありフィーチャーフォンからスマホに買い替える方が増えたのでしょう。

特筆すべきは「60代にはほぼ普及している」という点でしょう。つまり、これからの高齢者はスマホを持っており、使い方もある程度わかっているということです。これからの行政サービスや高齢者サポートには、スマホが重要なインフラとなることは間違いないでしょう。

サポートサービスも進化してきました。介護人材不足を考えれば、IT/DXに大きくかじを切ることは合理的です。また、認知症予備軍や初期のころには「まだまだ自分でできる」というプライドがありますので、ヘルパーなどの人的サポートに抵抗を示す方も少なくありません。その点アプリやロボットは人ではありませんので、意外と素直に受け入れる余地があります。

お年寄りのほぼ3人に1人、1200万人超が認知症とその予備軍になる社会が2050年にやってくる。介護人材は不足し、認知機能が衰えてもできるだけ自力で暮らせる環境が求められる。患者らを支えるモノやサービスの市場が2000億円に膨らむと予想されるなか、新たな技術や試みの芽が出始めた。
(筆者略)
厚生労働省が5月に公表した将来推計によると、50年の認知症患者は586万人と22年比で32%増える。認知機能が年相応より低下する「軽度認知障害(MCI)」は631万人と同13%増。合計は1217万人と同21%増え、65歳以上の3割が症状を持つ計算だ。健康意識の高まりなどを背景に前回発表の推計から減っているものの高水準が続く。

介護人材は23年度で22万人、40年度は69万人が不足するとされる。支援には新技術が欠かせない。日本総合研究所の紀伊信之リサーチ・コンサルティング部門部長は「50年には日常生活のあちこちに認知症に対応した商品やサービスがあふれているだろう」と話す。

日経電子版

診断サービスも進化しています。診断結果を元に運動で認知機能の向上を狙うアプリを開発しています。

アプリを使って認知症の早期発見や改善を目指す動きも出てきた。東北大学発のスタートアップ、CogSmart(コグスマート、東京・中央)は診断支援AI「BrainSuite(ブレインスイート)」を開発した。脳の画像から海馬の体積と脳に占める割合を数値で表し、将来の認知症リスクを提示する。
(筆者略)
運動で認知機能の向上を狙うアプリ「BrainUp(ブレインアップ)」を現在開発中。一般向けに24年中に提供を始める予定だ。アプリで運動の頻度を助言することで改善につなげる。

「アプリで適切な運動強度を知ることができ、運動習慣も定着するような工夫をしている」(樋口彰CEO)。研究結果ではアプリを実際に使った利用者で海馬の体積や認知機能の改善も見られた。

日経電子版

今後、加速的に表面化する日本の超高齢化社会。今から本格的に準備を始めないと間に合わなくなることでしょう。広く社会での議論を進めていきたいですね。


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タイトル画像提供:sogane / PIXTA(ピクスタ)


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