新型コロナショックがもたらしたコミュニケーションの変化と進化
世界中で大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの広がりは、人々のコミュニケーションにどのような変化をもたらしているのでしょうか。
現在、新型コロナウイルス感染症の広がりの影響で、都内では自宅勤務が推奨され、仕事の同僚や家族との接し方、接する時間も今までとは大きく変わった人が多いのではないでしょうか。そして、多くのイベントやセミナーは延期や中止になる状況が続いています。今回の新型コロナショックは、人々の行動を大きく変える出来事であることは確かです。
強制的にもたらされた変化
この未曾有の事態を通じて、仕事のコミュニケーションにおいては一気にオンライン化が進み、イベントにおいてもオンラインイベントの数が劇的に増え、人々の働き方にも大きな変化をもたらしています。
また、出社したとしても、早めに帰宅する人が増え、日常生活においても、今までよりも家にいるようになり、家族と過ごす時間が増えている人も多いのではないでしょうか。
更には、子供たちにおいても、全国の小中高校に一斉休校要請が入り、学びの場においても、オンライン授業の役割が非常に大きくなってます。
今回の非常に大きな外からの力は、我々の生活や働き方に、ある種強制的に大きな変化をもたらしたわけです。
そして、この変化はコミュニティ活動においても例外ではありません。自粛を求められているイベントにおいては、オンラインイベントの数が劇的に増え、コミュニティ活動におけるコミュニケーションのあり方も大きく変わってきています。
コミュニケーションにおいては、「オンライン」によるコミュニケーションの方法、頻度、使われ方などに大きな変化が起こりました。今回は、大きな変化が起きた「オンライン」コミュニケーションと、従来の「オフライン」コミュニケーションについて、考えていきたいと思います。
オフラインコミュニケーション
まずは、オフラインコミュニケーションから説明しましょう。実際に会ってコミュニケーションを取るオフラインコミュニケーションでは、目の前にいる人の顔色や、気配、会話の空気感など、お互いに取得出来る情報量が多くなります。それにより、コミュニティメンバー同士の考えや主催者の想いなどお互いのことを深く知ることが可能となり、心理的安全性が高まりやすい状態になります。結果、コミュニティの熱量が高まりやすくなるので、オフラインのコミュニケーションを通じて、コミュニティへのコミットメントの高いメンバーを集めることも出来ます。
また、コミュニティ活動をする上で、大切な要素の1つとして実施されるイベントでは人々が実際に集まり、オフラインのコミュニケーションが生まれる重要な場となります。
オンラインコミュニケーション
次に今回大きな変化が起きているオンラインコミュニケーションについて説明します。オンラインコミュニケーションは、文字通りオンラインを活用してのコミュニケーションを意味します。リモートワークが増えた昨今では、SlackやFacebookメッセージなどのテキストでのやり取りに加え、zoomやGoogle hangoutなどの音声ツールを利用しての社内外の打ち合わせも劇的に増えていると思います。今までは、実際に会って打ち合わせをすることに価値を感じていた人々も、オンラインでのコミュニケーションに半ば強制的に移行しているわけですが、移動時間が必要ないことなど利便性を感じている人も多いようです。
また、コミュニティ醸成などにおいて活用される「コンテンツ配信」もオンラインコミュニケーションの1つであると考えています。コンテンツ配信と一口で言ってもその種類は様々で、大きくは「テキスト配信」と「動画・音声配信」があります。また、イベントの自粛が続く現状において増えている「オンラインイベント」もコンテンツ配信の1つとなります。
オンラインコミュニケーションは、お互いの場所を気にすることがないという特徴があります。オフラインのイベントは、特定の場所で開催されるので、参加可能な人は会場に行くことが出来る人に限られていましたが、オンラインイベントでは、参加者のいる場所を問いません。
このオンラインコミュニケーションですが、今回の新型コロナショックの中で、様々な新しいカタチが生まれています。オンラインイベントに絞って見ると、下記の様にいくつかのタイプがあります。
- 視聴型オンラインイベント : 登壇者が話しているのを視聴するタイプで、YouTube LiveやFacebook Live, Twitter Liveなどが利用されています。ただし、視聴型と言っても、コメント欄を通じて自分の意見を伝える事が出来、インタラクティブなやり取りが可能なのも特徴です。
- 参加型オンラインイベント:参加者が、登壇者や他の参加者とコミュニケーションを取ることも可能なタイプで、主にzoomがツールとして活用されています。zoomの機能を利用して、数人ずつに分かれてのコミュニケーションも可能で、オフラインのイベントに近い形でのイベント参加体験を可能にしています。
- オンライン飲み会・懇親会:オンラインイベント後の懇親会や、コミュニティや会社の飲み会として、参加者が各自、自宅など自身の環境から個別に参加するタイプで、zoomやGoogle hangoutが活用されています。
そして、こうしたオンラインコミュニケーションは、コミュニティ醸成においても重要な意味を持ちます。実際に人が集まるオフラインコミュニケーションであるイベントと、オンラインでのコンテンツ配信を組み合わせることで、コミュニティメンバーとの接点を増やし、コミュニティの熱量を高めていくことが出来るのです。(この部分に関しては、出版予定の「コミュニティ思考(仮)」の中で詳しく書いております。)
今回、オンラインのコミュニケーション方法の多様化が進むことにより、コミュニティ醸成におけるオンラインの活用方法にも新たな形が生まれていくことでしょう。
相互関係にある「オフライン」と「オンライン」のコミュニケーション
それでは、この「オフライン」と「オンライン」のコミュニケーションは、お互いにどの様な関係なのでしょうか?
上述の通り、「オフライン」コミュニケーションは、実際に会うことによりお互いに取得出来る情報が多くなります。その分、お互いの想いや考え、空気感を把握する事が出来、理解が深まりやすくなります。一方で、実際に会う必要があるため、コミュニケーションを取れる頻度には制限が掛かってしまいます。
一方、「オンライン」コミュニケーションは、お互いがいる場所に関係なく取ることが出来るので、コミュニケーションの頻度は増やしやすくなります。ただし、直接会うのと比較すると、お互いの温度感など、取得できる情報量は少なくなります。
熱量・情報量がしっかり伝わるが、頻度が増やしにくい「オフライン」コミュニケーションと、頻度は増やしやすいが、熱量など情報量が比較的受け取りづらい「オンライン」コミュニケーションは、お互いに相互補完する関係になると考えています。そういう意味でも、今回のオンラインコミュニケーションの変化は、オフラインコミュニケーションをより強固に補完することが出来るようになり、今後のコミュニケーションの進化につながっていくことでしょう。
新型コロナショックは、コミュニティを分断し、オフラインのコミュニケーションを困難にする大変な事態となっています。しかし、今回の事態の中で、ある種強制的にもたらされたオンラインコミュニケーションの良い面が、オフラインコミュニケーションと組み合わさることで、コミュニケーションの形が進化し、将来的にコミュニティ醸成において重要な意味を持つようになるのではないかと考えています。
例えば、今まで、オフラインで活動していた場合、自分たちが活動している場所に物理的に来れる人がコミュニティメンバーの中心だったと思います。そこにオンラインでのコミュニケーションが加わることにより、遠くの人でも、活動に関与することが出来る様になり、コミュニティが多様になります。今までもオンラインでのコミュニケーションを活用するコミュニティはありましたが、今後は、オンラインコミュニケーションを活用できるコミュニティが間違いなく増えていくと思います。
今はまだ、新型コロナショックの渦中であり、多くの人が試行錯誤しながら動いている状況です。こうした動きの中から、きっとまだまだ新しいコミュニケーションの形が生まれていくでしょう。
今回の記事では、生活や働き方の大きな変化の中で、コミュニケーションがどう変化するのかを、一気に加速したオンラインコミュニケーションと、従来のオフラインコミュニケーションの特徴や、相互の関係なども含め、お伝えしました。