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女性取締役問題…女性に下駄をはかせるべきか?について

このタイトルは、今日、私のFB友達がタイムラインで複数、シェアしていた以下の記事を、きっかけにしています。

タイトルにもある「下駄をはかせる」は記事から引用すると以下の部分になる。

金融界の女性先駆者へのインタビュー集「激動の資本市場を駆け抜けた女たち」(白桃書房)の出版記念セミナーが、16日に明治大学駿河台キャンパスで開催された。アクサ・インベストメント・マネージャーズのシニア・ポートフォリオ・マネージャーで、日本企業と接点が多いハーディ智砂子氏の発言が印象的だった。「経営者の方は『ゲタを履かせて女性を取締役にするわけにはいかない』とおっしゃる。私は最近、(優秀な女性なら)少しゲタを履かせても良いのではと思っている。そうでなければ日本企業は変わらない」
男性取締役だってゲタを履いている人がいるのではないか。そんな言外のメッセージを読み取るかどうかは別にして、紛れもないプロ投資家の声として、経営者が心に刻むべき内容だろう。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK2056D0Q2A720C2000000/

ここで、「女性だからって下駄はかせるとかズルい!!ぜったい反対!」「いや、男性こそが、男だからって下駄はかされてきたくせに!!」という議論になると、簡単に言うと「男側 VS 女側」のケンカになってしまい、水掛け論というか…建設的議論にはならない恐れがある。…というか、間違いなく、ならない。
以下は私の個人的考えだが、多くの日本企業は、
・男だ、女だ、という前に、「個」を重視し尊重する企業風土を作り
・性別よりも「個」の違い(=個性)による適材適所と人材育成を行う
ことが大事であろうと思う。

ダイバーシティ経営とは「属性によるバイアス」ではなく、「個人」として人を見ること

ダイバーシティ経営とは、社員、取引先、顧客など、あらゆるステイクホルダーを、彼らが属する「属性」のバイアスではなく、「個人」として見る努力をし「個」をリスペクトし、「個」の力を最大限引き出し、さらにそれを束ねて「チームの力」に、さらには「組織全体の力」にして社会に価値貢献することだ、というのが私個人の考えだ。
わかりにくいと思うので、反面教師として、属性のバイアスとして見るということはどういうことかを言うと、平たく言えば「〇〇のくせに」である。

「女のくせに」とか言われてしまうと、つらい。
私は女だし、シングルマザーだし、スタートアップ起業家だが、仮に仕事の場で、いや、プライベートの場であっても「女のくせに」とか「片親のくせに」とか「赤字零細企業のくせに」とか言われたら、涙が出てくる。(たぶん)
でも、男性だって「男のくせに」とか「(一家の)大黒柱のくせに」とか「組織の一員として(男のくせに)恥ずかしくないのか」とか言われたら、泣きたくなると思う。でも本当に泣いたら「男のくせにみっともない」とか言われるから、顔で笑って心で泣くのである。つらい。

つまり、その人の属性を切り取って、そのバイアス(偏見)を押し付けられることは、誰にとっても悲しいツライことなのです。ここをまず、しっかり理解しましょう!!ここが第1歩!

人間は個性が強い生き物

余談ですが、我が家の次女は漫画にハマっており「日本の漫画とか世界最高峰だと思うわ」と、世界の漫画と読み比べたこともないのに断言し、自分でも買い漁っているし、友達からも、いろいろな漫画本を借りてくる。先日、私も、彼女が友人から借りてきた漫画を読んでいたところ、その漫画は「魔力を使える猫が、人間の魔法学校へ召喚されて、その学校のひよっこ生徒を立派なレジェンダリーな魔法使いへと育て上げる」という、非常にファンタジーな内容なのだが、とても面白かった。(Amazonでも4.6という、高評価レビューがついている)

漫画の冒頭で、猫のお母さんが、森に狩りにきた人間たちに見つからないよう、子猫たちを茂みにかくまいながら、説明するシーンがある。
「ほら、見て。あれが、人間よ。森に狩りにきたのね。恐ろしいと思う??そう、恐ろしい人間からは隠れないといけない。でもね、人間というのは、とても個性が強い生き物なの。つまり、同じ人間でも、いろんな人がいるのよ。恐ろしい人間もいれば、優しい人間もいる。大胆な行動をする人間もいれば、とても臆病な人間もいるのよ。」と子猫たちに教えるのだった。
この母猫は、なかなか鋭い。そう、人間は、統計学的にいえば「偏差が大きい」、金融的にいえば「ボラダリティがでかい」のだ。
つまり、「〇〇のくせに」と誰かがいう時、たいてい、それは間違っており、正確には「人による」「いろんな人がいる」というのが正しいのだと思う。

男性性と女性性の話

上記は以前、日経産業新聞に書いたコラムだ。経営や仕事の場で、女は~とか、男は~と言われるときは、多くは身体的な性別と、この男性性・女性性を混同しているような気がする。まぁ、この男性性・女性性という区分自体が既にバイアスなんですけどね。(;'∀')

男性性と女性性という概念がある。身体的な性別とは別に、心理的・精神的な部分における「男性らしさ」や「女性らしさ」のことで一般的には男性は男性性が強く女性は女性性が強いが、どちらも1人の人間の中に存在しており男女問わず誰しもが持っている性質であり人によりその割合や配分は違う。男性性に分類されるのは、分析、評価、判断、論理、攻撃、支配、決断力、積極性などである。一方、女性性に分類されるのは受容、包容力、共有、調和、安定、直感、感覚、感性、柔軟性などだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC14B530U2A310C2000000/

当然、性別に限らない多様性

個人にまつわる属性、タグというのは当然、性別に限らない。「年齢」「出身」「宗教」「性的指向」…他にもたくさんあるが、例えば「血液型」。
血液型を人格と結び付けて考えるのは日本独自のようで、私は大学生時代の夏休みに2週間の短期留学にいったアメリカの大学で、アイスブレイクのつもりで血液型を尋ねたら「なんで?ふみこは輸血でもすんの?」と聞き返された。理由を説明すると「あはは!人間の性格が4種類(A・B・AB・O)に分類できるわけないじゃない!」と笑い飛ばされた上に「え?私の血液型?知らないし、興味もったこともないわ。」ということで、私の話題提供は終了したのであった。チーン…。
なお、私は、「絶対、O型だよね~」とか「B型でしょ?」と言われると、その場で反論したりはしないが「ああ、この人は私を、がさつな自由人だと思っているんだな」と心の中で思う。(まぁ、だいたいあってますけどね。笑

モダンガール論とハイディ/ハワード実験

さて、横道にそれてるし、長くなってきたので本noteのタイトルに少しずつ回帰していきたい。そう、下駄はかせる議論のことだ。結論からいうと、おそらく、仕事社会の中で、多くの女性は下駄を履いていると思う。その下駄は、なんと、実際よりも身長を小さく見せる、「地面にめり込む」マイナスの下駄だ。

私がそう考える理由は、以下の論理だ。

①女子が学校を卒業して働き始めるのは18歳~22歳ぐらいが多いだろう。この20代というのは女性にとっては、「2つの生存戦略」がある。モダンガール論で提示されている、2つの道だ。
②この2つの道のうち、特に1つの道では、「謙虚に」「控えめに」「仕事はほどほどに」「男性のサポートをしている」のが圧倒的に有利だ。
特に、この道は女性が若い時に力を発揮するので、ビジネスパーソンとしての基礎力をつける時期と重なり、より事態をややこしくしている。
しかし、この若い時に「地面にめり込む下駄」を履く人は多いと思う。

https://www.amazon.co.jp/dp/4838712863

上記「モダンガール論」という本のサブタイトルは「女の子には出世の道が二つある」とある。
二つってなによ、と思うが、本の冒頭で既に答えが提示されている。「社長夫人になるか?社長になるか?」だ。(ここでの社長、社長夫人というのは、あくまでメタファーです)

この女の子の、出世の道が2つになったのは、ごく最近であり、昔は「前者(社長夫人)」しかなかった。だからこそ「モダンガール論」なのだろう。
気の毒なことに、いまだ社会の偏見により男性には1つしか道がない。
「社長になるか?女社長の旦那になるか?」がモダンボーイ論として出版されるには、おそらくあと30年ぐらい、かかるのではないか。
まさに「男はつらいよ」実世界版を、今も男性陣は生きているのかもしれない。(涙)

さて、モダンガール論に戻り、もし仮に「社長夫人」の道を進むには女性は男性に好かれなくてはいけない。ここで、1つの壁が立ちはだかる。「思いっきり仕事をする」「仕事において男性を凌駕する」というのは、大きな弊害になるのである。
「仕事ができる女は、好感度が下がる」…これまた、すごく切ない法則であるが、この法則は以下の「ハイディ・ハワード実験」で証明されている。
あまり日本語だと詳しく書いたものがないので、以下の英語記事を引用しておく。

上記記事の英文を、簡単に要約すると、
・ハイディ/ハワード実験を知っていますか?
・ハイディ・ローゼンさんは女性で、シリコンバレーの有名ベンチャーキャピタリスト。実在の人物です。
・彼女の話は、米コロンビアビジネススクールの実験の教材になりました。
・その実験というのは、フランクリン・フリン教授によって行われました。
・フランクリン教授は彼のクラスを半分に分け2つのグループを作りました。(ちなみに2つのグループには同程度、男子学生も女子学生もいる)
・そうして出来た2つのグループの、まず1つ目に、教授は、ハイディ・ローゼンさんのキャリア・業績のお話をしました。
・残った2つ目のグループにも教授は同じ話をしました。ただ1か所だけ変えました。ハイディという女性名を、ハワードという男性名に変えたのです。
・結果はどうだったでしょう?
・仕事の評価に対して、2つのグループは同じ評価をしました。当たり前です。だって同じ人物の話なんですから。
・でも、好感度で2つのグループは異なる答えを出しました。ハイディ、つまり女性名で話を聞いたグループの、彼女に対する好感度は低かったのです。
・そしてハワード、男性名で話を聞いたグループの、彼に対する好感度は高かったのです。
・この実験の結果は、つまりはこういうことです。「仕事の能力や出世と、男性の好感度は正比例するが、女性の場合、反比例する」

以上、ハイディ・ハワード実験の要約でした。うう、切ない…。

20代に厳しく鍛えられないという不幸

仮に「モダンガール論」で後者の道(社長!)を選びたい女性にとっては、20代の若い女性という立場にあって、他の男性社員より優しくされたり、「職場の花」扱いされたり、厳しく鍛えられない、厳しく叱責されない、高い目標を与えられないということがあれば、それは不幸でしかありません。
ビジネスパーソンとしての基礎を作る時代に、教育・訓練されなかったわけですから…。
でも女性社員としても2つの道があるわけなので、誰もが最初から後者の道をはっきり選べるわけではないでしょう。心の中で、「いや…日々男性社員と肩を並べて、残業したり、怒られたり、ツライ思いしなくっても、にこにこして可愛がられて、どっかで良い男(ここでは甲斐性がある的な意味の良い男)を捕まえて寿退職してお嫁さんになるほうがいいかも?…いや、女に生まれてよかったわ。男は大変だなあ。」という気持ちもあり、2つの道の間で、どっちつかず、迷っている…そんな女性が大半だと思います。
私自身、男女関係なく鍛える会社に入社したものの、自分の稼ぎだけで生きていくプレッシャーに耐えられず、学生時代から付き合っていた彼と25歳で結婚を決めています…。
なので、本当に誰が悪いってわけでもないんですけど…2つの道があれば、誰だって迷いますし腹くくれないですし…ほんとに…ねえ…。

そして…いつしかバブル崩壊後の失われた10年が、失われた20年になり、失われた30年になるうちに、日本は世界の中で相対的に貧しくなり、1馬力(夫が外で働き妻は専業主婦で家庭を守る)がやりにくい時代になりました。最近の若い男性は奥さんには「共働き」を希望するようです。1馬力で600万円かせぐより、2馬力で600万円稼ぐほうがリアリティあります。
人口減少社会に突入し、移民を受け入れていない日本は、労働力が不足するので企業側も「女性活躍!」を叫び始めました。そりゃそうです。人口の半分を働かせずに、世界3位の経済大国っていう日本の存在が極めてレアです、レア。諸外国は、エンジンの半分を寝かせておく余裕は1ミリもないようですって、コラムを約1年前ですが、書きました。

で、結論。女性取締役どうするのか問題

ああ、長くなりすぎなので、ここで一足飛びに結論。最初の記事の、「女性取締役どうするの?社外から有名人連れてくるの?でも、そればっかりじゃん?どこの企業も同じ女性が掛け持ちじゃん? じゃあ、でも社内から引き上げるの?いるの?下駄はかせるの?」という件です。

私の個人的な考えでは、以下です!
・人を育てるのは時間がかかるから、今は社外から有名人女性取締役を起用するのでもいいのではないか
・その代わり、現・経営陣は明日からでも、属性のバイアスではなく、「人を”個”として見る」文化を醸成し、採用にも人材育成にも人材配置にも「個を活かす」を憲法とするべき
・今、個をリスペクトする社内憲法制定しても、普通に考えても社内から女性取締役を出すには20年ほどかかりそう(22歳の新卒女子社員が20年経つと42歳)
・それか中途採用で、個を活かすタイプの企業から女性社員を採用して10年ぐらいかけて起用するか
・で、どうしても今すぐ社内のプロパー社員から女性取締役を起用したければ、社長はもちろん、その周囲の男性取締役全員で、よってたかって、全力で、彼女を守ってあげてください。><。(「仕事ができる女性=好感度低い」のハイディ・ハワード実験結果により、「(下駄はかされて?)取締役になった社内女性=最悪の好感度、社内の社員による嫉妬と憎悪の対象」確定ですので……)

さいごに

…ここまで書いて思うことは、ほんと、なんだか、男性もつらい。女性もつらい。若手もつらい。おじさんもつらい。おばさんもつらい。あー、やだやだ、属性バイアス、やだ。

1人1人の個性が輝き、活躍できる社会になるといいな!本当に。

おしまい。^^


(…さいごがいきなり雑ですみません。つまり、世の中はいろいろ難しいということです。みんな、幸せになりたいだけなのにね。)



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