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全員参加で創意工夫に溢れる社会を作ろう!

世の中では、新たな商品やサービスが発売された!今回はこの部分が大きく改善された!こんな便利な機能が追加された!しかもこんなにお買い得になりました!こんなニュースが溢れている。そして、こうしたニュースの中でも、SNSやメディアなどで注目を集めることができた商品やサービスだけが爆発的に売れる。その戦いに挑み、勝者となったものに富が与えられる仕組みだ。

でも、ふと思う。確かにそうした商品やサービスの情報を受け取った消費者は、「いい情報をもらった、いいものが安く買える」と、間違いなく嬉しいだろう。でも、より大きな嬉しさを感じたのは、「美味しいって言ってもらえた」、「想いが伝わって買っていただけた」と高ぶる供給者の方ではないだろうか。少なくとも、消費者の立場だけではなく、創意工夫した供給者の立場でも嬉しさを感じることが、個人の幸せを大きくするのは間違いないと思う。

WiLパートナーの小松原威さんの記事を見つけた。ギグワーカーの光と影だ。「ひとつの会社に依存することなく、自分のライフスタイルに合わせた好きな時間に働ける自由度の高さがギグワーカーの魅力だ」とある。でもそうは感じられないほど、コロナ禍で状況は一変した。アプリを通じて単発の仕事を請け負うギグワーカーという働き方は、需要が減った途端、仕事が無くなる。業務を受けているだけなので、需要を何とかして生み出そうという努力すらできない。環境に身をまかせるしかなくなる。

記事の中では、小松原さんがアメリカのダンプリング社というスタートアップを紹介している。大手買い物代行プラットフォームに頼ることなく、買い物代行サービスを独立開業するための支援を行なっている会社だ。利用者は、料金設定や集客も自ら行い、個性を生かして自分の創意工夫でサービスを作り上げるという。一度きりのマッチングではなく長期的なお得意様が出来ることもあるという。嬉しくなる。

日本にも「みんなの創意工夫」を促す仕掛けに使えそうな「pringのチーム」というサービスがある。ブログやSNSのように自分のコンテンツを配信でき、投げ銭やクラウドファンディングのように閲覧した人からお金を集められる。なんと1円からやり取りできるのだ。創意工夫次第だが、様々な可能性が広がる。

すでにコスメや動物、赤ちゃん、語学ノウハウ系など広告ビジネスでは厳しかったコンテンツにどんどん投げ銭が発生しているという。プロデューサーの仁科ゆりさんは「埋もれている世の中のマイクロインフルエンサーたちが活躍できるプラットフォームを目指したい」と語っている。

だいぶ以前から、みんなが活躍できる社会を地道に作って来た取り組みもある。ヤマダ電機の子会社であるコスモス・ベリーズの「大手量販店と地域店との共生」を掲げた事業モデルだ。地域店の仕入値はヤマダ電機とほぼ同じなので、どちらの商品も売り易い状況が作れ、地域店は安心して活動できる。昔ながらのお客さんと普段からコミュニケーションを取り、創意工夫をしながらお客さんの笑顔を引き出すことに集中できる。ヤマダ電機のお店に自らのお客さんを連れていくのも当たり前だという。地域店ネットワークには、工務店や百貨店も加わり、2017年時点で店舗数は81業種で1万810店にまで到達している。

今流行りのクラブハウスにも可能性を感じる。本社コメンテーターの中山淳史さんが言われるように、ネットワーク効果の特徴は、製品・サービスの利用者が増えると、「使う人一人ひとりの価値や満足度が相乗的に向上すること」だ。これを供給者側の視点で言い換えると、「使う人一人ひとりの創意工夫で稼げる商売が相乗的に拡大すること」となると思う。創業者の起業家2人が稼ぎ方をどう決めていくか分からないが、使う人一人ひとりの創意工夫がしっかりとお金に変えられる仕組みを整えて欲しい。小さな事業をたくさん生み出す仕掛けに育ってくれると良いと思う。

個人の幸せは、創意工夫から始められると信じている。それが評価され、対価を頂く。小さくてもこの経験を積み重ねていくことが、なにより大事だと思う。しかしながら、今の時代、商品もサービスも高度化している。ゼロベースで始めるのは流石に酷だ。一人ひとりが創意工夫したいところだけに集中できる環境が欲しくなる。世の中に既にあるもの、仕掛け、技術など、いつでも誰でも使えるように準備しておき、必要な人に必要なタイミングで届ける。こんなことが少しずつでも整えば、「全員参加で創意工夫に溢れる社会」に近づいていけるのではないだろうか。

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