まだまだ続く?中央銀行流動性相場

米国FOMCでは、利上げがなされたが、内容は概ね予想通りに終わり、サプライズなし。“緩和的”の文言を外し、タイミングについては議論があったものの前回の予告通りでもあった。面白いのはFedによる2021年予想。GDPは2021年に1.8%に低下する(2018年から順次3.1%⇒2.5%⇒2.0%⇒1.8%)、失業率は3.7%に上昇する(同じく3.7%⇒3.5%⇒3.5%⇒3.7%)との予想。2021年予想は先読み過ぎるとの思いもあり、マーケットの混乱要素にはならなかったものの、金利予想ドット分布を見ると、利上げサイクルは2020年に終了すること、FFレートの上限が3.4%に置かれていること、などがうかがえる。

もっとも先進的に金利をあげてきた米国だが、金融引き締めモードから中立スタンスに戻る気配を見せた、ということにとれる。中央銀行による流動性相場こそが、現在のクレジット・バブル(リスク資産の価格が高値で安定する)の最大のポイントである。米国がそれを継続するとなれば、ECBや日銀の動きを伴い、マーケットのバブル的要素は継続する可能性が大きいということを意味する。

ただし、これからのマーケットを動かす懸念材料があることも無視はできない。米中貿易戦争の過熱化や、英国Brexitの動向、さらにはイタリア財政問題の露呈など秋にはイベントも目白押しだ。こうした、イベント的要素がどう出るかによって、リスク資産価格に下押し圧力がかかることには注意する必要がある。とはいえ、今回Fedが金融政策を中立に一歩近づけたことで、そうしたリスクのネガティブインパクトを一部緩和させる方向に働く可能性が出てきたとは言えるだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL26HVY_W8A920C1000000/

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