入社式では話さない、大事な新入社員への話をしよう
新入社員になったことは、会社だけではなく、日本にとっても意味のあること
今年、新入社員になった皆さん、本当にビジネス・パーソン・デビュー、おめでとうございます。皆さんが、新入社員になったことは、会社にとって重要なだけではなく、日本経済、世界経済にとっても、意味のあることです。なぜなら、皆さん新入社員は、新たな経済成長を担う一員になってくれたからです。
今年、新入社員になった方には、いろいろな進路の選択肢がある中、ビジネス・パーソンになるという選択をしてくださいました。本当にありがとうございます。
ところが、日本政府は、新入社員へのメッセージを出していません。日本という少子高齢化の社会で、ビジネス・パーソンになることは、日本の経済にとっては、とても重要なことです。つまり、皆さんが入社したことは、日本国民にとっても、歓迎すべきことなのです。そこで、私がビジネス・パーソンの先輩として、皆さんの会社の入社式では話されたなかった、大事な話をお伝えしようと思います。
大学を授業料を払い通い、会社は給与を貰って通う
多くの新社会人は、それまで学生だったのでしょう。代表的な、大学と会社にさまざまな違いがあります。
通い方
大学:自分の参加したい授業に合わせて選んで通う
会社:従業員規定などの規則に合わせて通う
お金
大学:授業料として大学に払う
会社:給与として会社から貰う
退学・退社
大学:ほぼないが、受けたい科目が変わった場合、他の大学に再入学
会社:人生設計や待遇の視点から、他の会社に転職
他にも、さまざまな違いがあるでしょうし、その違いの理解も、上記は私の場合の理解で、異論もあるでしょう。
今回特に注目したいのは、「お金」です。このお金は、ビジネス・パーソンに大きな誤解を与えているのではないでしょうか。
入社式では、多くの会社の経営者が、新社会人に、「多いに働いてください」という言葉を発します。そして、その言葉を受けた新社会人側も、「給与に見合う働きをしよう」と考えるのでしょう。
では授業料を支払っていた大学で、皆さんは働いていなかったのでしょうか?確かに多くの部分は、教官からの教えを学んでいました。しかし、新しい領域について、考える。まだ行ったことがない実験に参加する、などの活動は、学びでもあり、働きでもあるのです。皆さんが参加しないと思いつかない考えから、研究論文のヒントを得た教官・研究者がいるかもしれません。皆さんが参加することで、それまでにない実験や観察が行えて、必要なデータが集まった研究もあるでしょう。これらは、皆さんは意識しなかったかもしれませんが、立派な労働です。
会社に入社すると、私たちの多くは、定期的に決まったお金を貰うようになります。そのことで、私たちは、「お金=労働」と考えますが、実は、お金を払っていた大学でも、お金を貰わない労働はしていたのです。思考や研究も労働なのです。
これが大きな誤解なのです。お金を貰うと労働すべきで、お金を払うと学びであるという考えは、短絡的です。
大学では、学びが中心ですが、労働も経験します。逆に、会社では労働が中心ですが、学びもあって良いのです。お金をもらっているから、学んではいけないわけではないのです。むしろ、新社会人の皆さん、会社に入っても学んでください。それが、入社式で伝えられない、重要な皆さんへのメッセージです。
リスキリングは、常に学んでいれば、不要
近年、リスキリングという言葉が使われるようになりました。
この言葉が出てきた背景には、人生が長くなり、労働を行う上限年齢が高くなったことがあるでしょう。しかし、他の理由に、私たちのようなシニア世代が、会社の中で、あまりに学んでいなかったことも背景にあるのです。もっと、若い時代から、「学び」と「労働」のバランスを考えて、取り組んでいたら、退職直前の「リスキリング」など不要で、スムーズに「第2の人生」に移行できるです。
ぜひ、今年ビジネス・パーソン・デビューした皆さん、会社に入っても「学んでください!」。それは、将来の会社のためにも、日本の経済成長のためにも、そして皆さんのためにもなるのです。
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