安室奈美恵さんに、名探偵コナンの安室透。今年上期の消費をけん引した二つのアムロに加えての三人目のアムロが、メキシコで大勝利したアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏で、通称AMLO。

 AMLOは7月1日の大統領および議会選挙で圧勝。53%を得票したが、この得票率は1980年代以降の大統領選では最大。もっぱら、メキシコでも、ポピュリズムの流れが強まったと言われている。というのも、経済政策上の公約を見ると、①増税しない、②燃料価格の急上昇を抑制する、③公共投資を拡大する、④年金の支払い対象拡大と支給額の増額・・・など、明らかに拡張財政をとるためである。

 ただし、リスクがそれ程大きいか、というと、意外にそう大きくない可能性があると見ている。第一に、AMLOのアドバイザーがマーケットフレンドリーに見えること。AMLO政権の財務相候補となっている経済学者カルロス・ウルスア氏などは、プライマリー収支を維持することを確約、さらにネット債務に上限を設けることを提案している。また、NAFTAについても自由貿易推進派として現協定を尊重すべきと言っている。第二に、たとえば前政権の実施した様々な改革の巻戻しをしようとしても、憲法の修正に必要となる議席数を保有していない。憲法改正には議会の3分の2の賛同が必要である。

 海外からの直接投資を呼び込むための努力が、同時に財政収支の急激な悪化を回避する方向で進められるなら、メキシコのファンダメンタルズが過度に悪化するリスクは限定的であるはずだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO32633150V00C18A7MM8000/

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