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困ったからこそ進められるデジタルトランスフォーメーション ~ 世界経営者会議におけるディスカッション

11月11日に第22回日経フォーラム世界経営者会議が実施されました。

そこで、金融領域のSaaSを牽引するマネーフォワードの辻社長と、AIを用いた社会課題解決を標榜されているエクサウィザーズの春田会長による、日本におけるデジタルトランスフォーメーションの現状に対するディスカッションが行われました。

困難にぶつかった時の変化は必然

辻さんは、コロナ禍により多くの企業が望む望まずに関わらず、デジタルへの迅速な対応が求められるようになった話をされていました。例えば、リモートワークへの急激なシフトは、デジタル企業のマネーフォワードですら、大きなストレスが掛かったそうです。

リモートワークの推進は、自社の仕事環境を変化させる大変さだけではなく、企業を対象としたBtoB事業を行っている企業においては、さらなる困難が突き付けられます。対面営業の実行が困難になり、これまで当然視していた決まり切った営業手法全体の見直しが迫られているのです。

また、そもそも消費者が接触し、活動する場が大きくデジタルに移行しています。これは世代全体の傾向でもあるのですが、将来の変化を先取りできる若者、10代において顕著に現れています。

この5年間で休日に見るテレビの時間が半分程度まで減ってしまっています。その分、ネット利用時間が35%上昇しています。

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(令和2年版情報通信白書:主なメディアの平均利用時間と行為者率-休日1日)

消費者が、デジタル空間で過ごす時間が長くなるのであれば、対象顧客の変化を捉えて、企業もコミュニケーションを行う場を変えないといけないのは当然です。

さらに、デジタルネットワークはマスメディアと異なり、消費者一人ひとりとつながれるようになります。宣伝コミュニケーションだけでなく、商品やサービス提供の、そもそもの在り方を見直すことで、新たに大きな価値を創出できるようになります。

この変化は、インターネットの登場と共に、長年語られてきたことではありますが、残念ながら先んじて対応できている企業は多く存在していません。

変化が急激に顕在化し、企業活動に支障が出てきたいまでこそ、本格的な対応が可能となっていると考えられます。

リーダーはWhyを語るべき

また、春田さんは、この変革時には、そもそも自分たちを変化させる目的が何であるのか、しっかり語ることがリーダーに求められることを説明されていました。

変化には、必ず痛みが伴います。

行政改革で推進されている押印の見直しによって、社会全体では便益を得られる反面、不利益を被る人が沢山いることも想定されます。手続きを変えることは、これまで効率化されてきたやり方を一度破棄しなければなりません。印鑑を作っていた人の仕事は減っていきます。

それをも飲み込んで、なぜ今変革を推進するのか、理由やその先にある世界観を責任ある立場の人が、しっかりと語らなければなりません。

ここでディスカッションされた内容は、あらやる変革を進める上で共通に必要なことだと実感しました。

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