見出し画像

日経で徳島を俯瞰した。未来づくりに役立つ俯瞰を実現したくなった

最近、「地域の活性化」や「文化振興、観光振興」というキーワードが頭の中をぐるぐると回っている。これまでは長らく大都会に住んでいたが、何故かこれからは「地方の時代がやってくる」と感じている。そこに、大した根拠などあるわけではないが、少なくとも多様性に溢れた豊かな日本で生きていきたい、そんな姿を世界に発信したいという想いを持った人が、日本には、私を含めて、数多くいると感じている。日本の未来は、そうした人たちが主体的に切り開いていくのが良いと信じている。

徳島は、これまでほとんど縁のなかった県だ。京都にオフィスを構えてからは、淡路島経由で、車でも到達可能な場所となった。仕事で徳島の文化に触れる機会も頂いたので、事前の情報収集を電子版で行ってみた。今まで一度も使ったことがなかったが、地域ニュースというカテゴリーがあり、そこから徳島を選んで記事の見出しを流し読みをした。恥ずかしながら、阿波踊りの県くらいの認識だったが、まず「お!」と思ったのは、SDGsへの取り組みだ。10月に県主催のシンポジウムがあるという。

しばらくスクロールすると、中四国で1人1日あたりのゴミ排出量が最も少ないのは徳島県神山町で328gだという。4位、6位には同県の上勝町、佐那河内村もランクインしている。都会ではまだまだできていないコンポストの取り組みが定着しているのには驚いた。徳島大発の健康食や徳島文理大の弱い点滅光による植物成長促進などは、食に関する先端的な取り組みだろう。調べれば、まだまだ多様なSDGsの取り組みが見つかるような気がしている。講談社が10月26日に発売するSDGs特集号「FRaU 1冊まるごと徳島県」は是非読んでみたいと思う。

どうやら徳島は、ワーケーションでも先頭を走っているようだ。サテライトオフィスは、事業者が21年夏時点で約80社もあり、北海道と首位を競っているという。例えば、ANAでは地域住民との交流や課題解決を重視した研修型のプログラムを10種類用意して、遊び重視ではないワーケーションを展開している。ソニー系研究所や村田製作所などは県と共に、太陽光パネルとEVなどを組み合わせた脱炭素型ワーケーション施設の実験を開始している。

移動の取り組みも盛んだ。住民の生活の足を確保する取り組み、市内観光を活性化する取り込み、他府県からの観光客の利便性を高める取り込みなどの記事が出てきた。貨客混載をして移動や輸送の単価を低減する取り組みもあるようだ。

特産品の販売にも力が入っている。徳島県の中央部、那賀町にある黄金の村が地元産「木頭ユズ」のブランド化を推進している。化粧品や雑貨なども含めて、加工製品は合計で約50品目に達しているという。鳴門市では特産品サイト「なるとモール」を開設している。特産品を扱う11社のネット通販サイトを統合して集客力を高める工夫をしているようだ。リアル店舗での賑わいづくりにも力を入れている。昨年撤退した百貨店に、新たな百貨店を誘致するのに成功したようだ。

文化活動も新旧さまざま取り組みがある。阿波踊りのクラウドファンディングや屋内開催の記事はたくさん目にした。でも阿波の三大文化だと知った人形浄瑠璃、藍染については記事が極めて少ないのは意外だった。それから、興味を強く引いたのは、大塚グループが創業の地に築いた大塚国際美術館の記事だ。陶板レプリカで西洋絵画1000点余りを一堂にあつめているという。システィーナ礼拝堂の原寸大の展示は是非みてみたいものだ。今年は中止だというが、アニメの祭典「マチ★アソビ」というアニメの祭典もあるらしい。少しバラバラ感は否めないが、来訪者増には役立つのかもしれない。

すべては紹介しないが、徳島に関する様々な記事をみた。SDGsで徳島全体の活動を俯瞰する取り組みから、関係人口を増やすワーケーションの取り組み、移動を活性化する取り組み、更には特産品の拡販や文化振興の取り組みまで、様々な取り組みが見つかった。ふと思った。それぞれの取り組みで、主体となって頑張っている方がいるはずだ。そうした人に、タイムリーに周囲の状況を伝えて、俯瞰の視野を持ってもらうことはできないだろうか。

ヒトの流れやモノの流れを意識するためには、どこでどんな取り組みがその時々に行われているかを、地図上でみたくなる。そうすれば、自ずから「あの取り組みと組んでみたら、相乗効果が生まれるのではないか」と考えることができるだろう。周りを知らずに、「バラバラでやることで打ち消しあってしまっている」といった残念な結果は生まれ難くなると思う。デジタルの時代、効率化もいいが、意思を持って、想いを持って未来を切り開こうとしている人に、俯瞰の視点をタイムリーに届ける仕組みがあって然るべきだ。データ元は異なっても、街という括りで、常に鮮度の高いデータをキュレーションする仕掛け。こんな新たな仕掛けを生み出してみたいと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?