風雲急を告げる:イタリア

イタリアの政局が迷走を続け、NYダウも日経平均も大幅下落。イタリア国債のCDSスプレッドは一時期276bpとトルコなども上回る水準となった。一気呵成のリスクオフモードである。数日前に、まだ平衡感覚を失う必要はない、とComemoにて指摘した割にはこの迷走ぶりで、うそをついてしまった形となり申し訳ない。

イタリアは現在、指名されたコンテ首相による組閣が、マッタレッラ大統領の拒否権発動により失敗。組閣断念となり、続いてコッタレッリ氏に組閣を委任している状況。「同盟」と五つ星運動が現在のイタリアの二大反体制派政党だが、再選挙で彼らの政権が樹立されれば、財政赤字大膨張となるポピュリズムが台頭すること必至。「同盟」がフォルツァ・イタリアと組み中道右派を形成して勝利する場合や民主党PDがそれなりに復権する場合などは、ある程度金融市場には好ましいが、どこに収まるか、不明だ。そもそも再選挙に持ち込まれるか、持ち込まれるとすればいつか、不透明要素が多すぎて予断を許さない。

その間のイタリア国債スプレッドはワイド化したまま、タイト化する理由を見いだせずに推移してしまう公算が大きい。そうであれば、イタリア国債を保有している金融機関は含み損を抱えることとなりかねない。日本の金融機関もさることながら、イタリアの金融機関もイタリア国債を保有しているであろうから、問題が大きくなる可能性がある。イタリアの金融システムはそうでなくとも不良債権を抱えており、このままだとECBの金融政策の正常化にも影響を与えてしまうであろう。イタリアのファンダメンタルズを考えれば、デフォルトリスクの予想はやり過ぎだという見方は前回から変えないが、イタリアのスプレッドの行方は一段慎重に見るしかなさそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_Q8A530C1000000/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?