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自分の理想のくらしとは?〜スローライフを実現するためのサブスクサービスを求めて

今月から、「Yohana」という「プライベートコンシェルジュ」サービスのサブスクを始めてみました。自分の生活のあらゆる「TO-DO」を頼んでしまうことができると言います。仕事ではさまざまなプロと契約して、法律、経理、デザインなどの仕事を進めていますが、「生活をプロにサポートしてもらうってどんなことだろう?」という純粋興味で、「くらし素人」の私が「自分の理想のくらし」に向き合ってみました


「自分の理想のくらし」が分からない

パーソナルコンシェルジュのサービスでは、自分のくらしの困りごとをどんどん「TO-DO」にして依頼できるというものです。面白いのは、月に一回のコーチングセッションみたいなのが用意されていて、自分の「くらしのニーズ」の棚卸しをサポートしてくれることです。

企業や地域のビジョンをつくり、それを実現していくための原理や仕組みをつくっていくこと。そこにコーチやファシリテーターが伴走支援するということは、私にとって日常的な仕事なので、逆に、このようなビジョン実現のやり方を「くらし」に適用するとどうなるんだろう?と、興味津々でした。

最初のセッションで問われたのは、「理想のくらし」でしたが、その瞬間に「分からない」と凍りついてしまいました。くらしの理想とか考えたことがなかったので、断片的な「困りごと」しか答えられませんでした。

サブスクメニューが教えてくれる新しいくらしの価値観

最近は、さまざまなサブスクサービスが生まれています。たとえば、ホテル暮らしのサブスクは、持ちものを持たないくらしを実現してくれます。この記事で紹介されている方は、「仕事が忙しいときはオフィスの近く、リモートワークで済みそうなときは郊外に、と住まいを柔軟に変えられるのが利点です」と答えています。「冬服など大型の荷物は宅配型収納サービスに預け、スーツケース1つでホテルからホテルへと移り住む」ということです。家を整えるのではなく、目的に応じて住む場所を移すことで、「理想のくらし」を実現するということになると、自分の理想は根本から覆されそうです。

次の記事にある子どもの靴のサブスクサービスにも、大きなヒントがありそうです。これは靴だけですが、子どものためのもので、ずっと使い続けるものはほとんどないので、なんでもサブスクになりそうです。一方で、お下がりやバザーなどで循環させていた時の「人のつながり」という価値と、サブスクで考えがちな「買うよりお得」という価値の違いを意識する必要がありそうです。自分の理想のくらしは、地域のつながりを感じられるものなのか、あるいはモノを持たないくらしなのか、自分自身に問いかける必要がありそうです。

次の記事が紹介するポストコーヒーは、その人にとっての高質なコーヒーライフを診断した上で、その人に合ったスペシャルティコーヒーを適切にアレンジして定期配送してくれる、サブスクサービスです。次の記事で下村社長は、「PostCoffeeの場合、最初のサブスク開始前の段階で行うコーヒー診断で、継続的にお客様と付き合うためのデータを取る。そこから選出したコーヒーにフィードバックをいただき、かぶりがないようにまた別のコーヒーを届ける。顧客と継続的な関係があるからこそ、最初のデータを成長させていけるのは、サブスクならでは」と、このサービスのコンセプトを語っています。自分にとっての理想というものがあらかじめ分かっているのではなく、診断して、試してみて、フィードバックすることで、その結果として、「いま自分の好きなもの」が浮かび上がってくるということを教えてくれます。

スローライフを実現するには

私は「スローイノベーション」という会社を起業しているだけあって、自身は「スローライフ」を理想としています。仕事では、地域や企業で「スローライフの価値観を持ってイノベーションに取り組む」ことを促進することに取り組んでいます。「短期的な成果を成約条件とせず、長期的に大切なことに取り組む」ことを地域や企業に促していくわけです。

自分のくらしにおいても、ただゆったりするスローではなく、スローフード運動のように、「自分とつながり、地域とつながり、自然とつながり」ながら生きたいと思っています。

そう思っていても、サブスクサービスを使う時には、どうしても自分自身の「消費者マインド」が起動してしまいます。そうすると、サブスクサービスをコスパやタイパ(お得や時短)の手段と捉えてしまうことになります。お得に注目してしまうと、そのサブスクサービスが示唆する新しい価値観を自分の「理想のくらし」に取り込むチャンスを見逃してしまいます。

そこでやってみたことは、「生産的に生きている自分」を一度手放し、Yohanaのコンシェルジュには「今やっていないこと」を相談することです。生産的でない自分を甘やかし、「ワクワクすること」の相談を始めたのです。

そうすると、自分の仕事で取り組んでいる「スローライフの価値観を持ってイノベーションに取り組む」ことが、くらしの中に見えてきたのです。具体的には、「家事が得意とは言えない男性が、得意を増やしていく」プロセスを楽しみたいと思うようになりました。気持ちが上がるような料理器具や器を探してもらったり、料理やDIYのアイデアをもらい始めました。

結局、理想のくらしが答えられないことを恥じることなんてなかったのです。知らないことに取り組む楽しみが、くらしの楽しみなのだと気づくことができました。これこそ、達成型のファストから、今を楽しむスローライフへの転換ではないでしょうか。サブスクサービスは、お得や便利で使うのではなく、自分を見直す機会にすることができると思います。皆さんも、自分に不可欠ではない、ちょっと冒険するサブスクサービスを始めてみてはいかがでしょうか。

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