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刷新されない過去の評価

数年ぶりの体験

未来を現実のものとするためには、使う人が大切。ここ数年、そう言い続けています。しかし、自分でそれを実践しているのか、と振り返ってみて、驚くことがありました。

先日、自転車で小一時間走り、新しいオフィスに行きました。方向音痴かつ道順を覚えていなかったので、骨伝導イヤホンで周囲の音が聞ける状態を確保したまま、Google Mapの経路案内を使ってみました。音声案内を使ったのは、実は、数年ぶりのことでした。

今では、駅構内での音声案内の実証実験など、徐々に音声案内の活用の範囲が広がってきているようです。

僕自身、2008年のiPhone国内発売のタイミングでソフトバンクの小会社を立ち上げた経験もあり、初期の段階からスマートフォン関連の機能には触れてきました。イノベータのひとりである、という自負もありました。

しかし、初期のタイミングで、音声案内に触れていたためか、その時のあまり精度が高くなかったという経験から、その後の利用を敬遠していました。自転車に乗っていて道案内を使う場合も、信号で止まった際に、スマホの画面で確認する、という使い方をしていました。

過去の経験が思い込みをつくる

VR/MR技術を用いた医療用ソフトウェア「Holoeyes MD」について医療現場で医師の方々に体験していただく中でも、似たようなことが2〜3ありました。

「むかし触ってみたけれど、あんまり使える感じがしなかった」という声です。

こうした声は、むしろ、VRなどについて関心が高く、経験値の高い方からのものでした。聞いてみると、7〜8年前に経験したことがある、というようなものでした。

デバイスの進化は、日進月歩です。2〜3年経てば世代が変わります。8年前といえば、iPhoneでいうと、iPhone5cやiPhone5sの頃です。指紋認証となるTouchIDが初めて搭載され、docomoでの発売が開始された時です。ApplePayは未対応、NFCも未対応、3DTouchもありませんでした。FaceIDその4年後になって初めて登場しました。まだイヤホンジャックがありました。このiPhone5sは、第7世代と呼ばれています。現在のiPhone12シリーズは第14世代です。

とくにVRは黎明期からの8年となると、iPhone3GからiPhone6ほどの変化にあたるかもしれません。この変化は、もはや体験的にはまったく異なるものと言えるほど大きなものです。

刷新されない評価(体験の感想)

自分自身の状況を8年前と比べてみれば、かなり大きく変わっていると思えるのですが、こういうサービスの体験についての記憶は、あまり刷新されずにいるようです。8年前の経験が、現在の社会実装の足枷になってしまっていることに、愕然とします。冒頭の音声案内の体験は、自分自身でも、そうした過去の経験による思い込みがあるということを知り、改めて反省する機会となりました。

言うこととやることの乖離があること。それをできるだけ避けたい、と考えて日々過ごしているつもりです。しかし、なかなか難しいということを、思い知らされました。口先だけにならないよう、可能な限り、気をつけたいと思います。

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