タカタ社債の返済率が語るリスク

4月10日、タカタは有する資産および事業のうち一部を除き、KSSへの譲渡を完了させた。再生計画の付議決定は3月16日、債権者説明会が行われたのが4月17日。この先は5月23日の債権者集会を経て、6月下旬には裁判所による認可決定の確定に至る。タカタは15億8800万ドルでKSSに事業譲渡をしたが、その額から債権の支払いが行われることが考えられる。タカタが東京地裁へ提出した再建計画によると確定再生債権者は583名、1兆824億円。自動車会社を除く確定債権のうち、まず50万円までを返済。追加支払いをあわせて、4%程度が支払われるという。

タカタは譲渡金から売掛債権など優先弁済債権や担保付銀行借入金等を支払い、さらに米国に支払った補償金のうちタカタの分担分負担金および残存会社のインフレ―タ―に関する事業を行うための費用を差し引いて、残りを返済に回したことにより、原資が限定されてしまった格好だ。

社債は比較的返済され易いとの錯覚が大きいが、デフォルトした債券の返済率は低下している。2001年マイカル債は同個人向け30%、2008年リーマン債は16%、2010年JAL債は12.5%と比較しても明らかに低い。自動車会社が肩代わりしたリコール費用や補償金負担など、タカタのケースには特殊事情が多いとはいえ、デフォルトした場合には社債の返済への期待感は下げざるを得ないであろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP477073_S8A410C1000000/

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