見出し画像

ドイツの電気技術者たちがボカロに関心?ブラウンシュヴァイク工大で講演

ドイツの電気技術者たちは、初音ミクやボーカロイド技術に興味を持っていそうです。電気技術に関する標準規格に関わり業界の研究者や企業の団体であるドイツ電気技術者協会(VDE)によると、3月21日にブラウンシュヴァイクでボーカロイドに関する講演「PCから生まれた完璧な歌手:日本の音楽産業におけるヴァーチャル・リアリティ」が開催されます。主催者はVDEのブラウンシュヴァイク地区の支部で、共催者には現地の独日協会が名を連ねています。

ドイツにおけるボカロ事情は、公式コンサートやファンによるイベント、大学でのメディア研究、そして大手新聞メディアのジャーナリズムなど、かなり広い分野で注目されてきました。しかし、今回のような電機技術といった文脈では、ちょっと過去に例がないかもしれません。

少し概要文を詳しく見てみましょう。全文を日本語にするとだいたいこんな感じです。

21世紀はソフトウェアをベースにしたアイデアが開発され、生活を豊かにしています。ヴァーチャル・リアリティは革命的なコンセプトとして日常を完全に変化させます。西洋人はこのコンセプトに取り組んでいるところですが、日本ではアバターがすでに新しい分野を開拓しています。例えば、ボーカロイドの初音ミクです。日本の音楽チャートを席巻し、世界での反響も大きくなるばかりです。ボーカロイドのコンセプトはアジア地域で確立されたのち、欧米ではヴァーチャル歌手によるホログラムコンサートへの関心が高まりつつあります。このプログラムは革命的な発展を音楽産業にもたらし、新しいトレンドに関する音楽学的な研究も現れてきています。

どうやらボーカロイド技術そのものへの関心というよりは、それがもたらす未来について考える示唆的な内容のようです。

ここで思い出されるのは、初音ミクと「結婚」した日本人男性のニュースです。昨年後半のこのニュースはドイツでも注目されました。大手新聞の『フランクフルター・アルゲマイネ』や『ツァイト』、一般向け雑誌となる『シュピーゲル』や『ネオン』が取り上げていて、ドイツでの関心の高さがうかがえます。およそ、人とデジタルの関係、デジタル化した社会といった切り口で、注目されているようです。

こうした社会の関心が、VDEが講演を実施するまで広がってきたのかもしれません。

開催地のブランシュヴァイクは、ブランシュヴァイク公国の首都として栄えた歴史がある町です。近代以降、工業化が進み、フォルクスワーゲンやボッシュ、シーメンスといったドイツの製造業大手が拠点を構え、研究分野ではブランシュヴァイク工科大学はドイツ屈指の工学研究の中心のひとつでもあります。開催場所の「ハウス・デア・ヴィッセンシャフト」(『科学の家』)はブランシュヴァイク工科大学のキャンパス内にあります。

今回の講演は、地域イベントの枠を超えない小規模なものだと思われます。しかし、ボーカロイドがより大きな社会的、経済的な、そしてもしかしたら工学的な枠組みに回収されていくような、将来への期待をにじませる、そんな感覚を筆者は覚えました。お近くの方は、ぜひ行ってみてください。

イベント概要>
日時:2019年3月21日、18:30スタート
言語:ドイツ語
開催場所:Haus der Wissenschaft, Raum Veolia (Pockelsstraße 11, 38106 Braunschweig)
入場料:無料

ソース>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?