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複利の力を利用した積み立てミリオネアへの道筋

 世界の金利水準が上昇する中でも、日本の定期預金は年率0.002%と低いため、元金を増やしていくことができない。しかし、株式投資はボラティリティ(相場変動)が大きく、元本割れのリスクが高いため、すべての資金を投下することは難しい。

そこで、2022年後半から注目されはじめているのが米ドル建てのMMFである。 MMF(マネーマーケットファンド)は、金融商品の中でも安全性が高い、短期の国債や譲渡性預金(CD)で運用されるオープン型投資信託のため、元本割れのリスクが低い。

日本でも、預金金利が3%以上付いた1990年代には、証券口座とMMF口座が連動しているのが一般的で、株式投資用にプールしておく資金を年率3%の利回りで運用することができた。しかし、日本は2000年以降にゼロ金利政策に移行したことで、日本円MMFは廃止されていった歴史がある。

しかし、2023年からは米国の政策金利引き上げにより、米ドルMMFの利回りが年率4%台にまで上昇しているため、日本の銀行口座から乗り換える投資家が増えてきた。日本人が米ドルに投資する方法としては、国内の銀行が取り扱う外貨預金もあるが、こちらは、政策金利の上昇に預金金利が反映されていないため、個人投資家が株式よりローリスクで4%以上の安定利回りを狙える選択肢は、現状では米ドルMMFに絞られてくる。

米ドルMMFは日本の証券会社から購入することができ、定期預金のような契約期間の縛りが無く、1日単位で引き出すことが可能なため、米国株投資の余剰資金をプールしておく口座としても適している。

一方、米ドルMMFの欠点は、為替相場によって元本の価値が変動して、日本円に戻す際の為替手数料がかかる点である。日本と米国の金利差から、円預金をドルに換える投資家が増えると、円安は進むことになるため、米ドルMMFを毎月積み立て購入して、ドル資産を保有し続けることも、円安時代の投資手法として注目されている。ただし、米ドルMMFをNISA枠で購入することはできない。

【新NISA制度で狙うミリオネア投資】

 2024年から改正される新NISA制度では、積み立て投資枠として年間120万円、成長投資枠として 年間240万円までの投資をした分の売買益と配当収入が、期間無制限で非課税になる。このメリットは想像以上に大きく、複利投資で純資産額1億円を狙うことも可能になってくる。

新NISA制度の解説(金融庁)

新NISAの非課税保有限度額は1800万円まであるため、積み立て投資枠で月10万円ずつの投資をしていくと、180ヶ月(15年間)分の投資で得た運用益が非課税になる。この制度を利用すれば、日本版のCoast FIREを実行することができる。

米国 S&P500のインデックスファンドを毎月10万円×180ヶ月積み立て購入するとして、S&P500の平均利回りが年率7%で回れば、15年後の資産額は3,169万円、年率5%の利回りでも2,672万円となる計算だ。非課税の限度額を使い切った後も、月10万円の積み立てを継続して30年間の投資を行うと、7%の利回りでは資産総額が1億円を越してくる。

資産運用シミュレーション(金融庁)

毎月10万円の積立を30年間にわたり継続するのは並大抵のことではないが、マイホームやマイカーのグレードを落とした分を貯蓄に回す、夫婦共働き世帯では配偶者の給与分を積み立てていく、また、月10万円の収入を稼げる副業を軌道に乗せるなど、具体的な方法は存在している。

いずれの方法にしても、重要なのは複利の力によって資産を増やしていくことであり、そのためには、できるだけ早い時期からの投資を実行した者が、30年後の勝ち組になれるということだ。反対に、学生ローン(奨学金)やマイホームローンなどで、長期のローン債務を抱えてしまうと、貯蓄に回せる資金は少なくなり、投資組との差は、時間経過ともに開いていってしまう。

資産形成の方法は、時代によっても変化していくため、世間の常識や専門家のアドバイスが常に正しいとは限らず、独自のセンス(金銭感覚)を磨いていくことが、人よりも一歩先の有望投資先を発掘することに役立つ。

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