7月6日。米国政府が6月15日に、中国からの500億ドル相当の輸入品(知的財産権およびハイテク関連、自動車を含む)に対する25%の追加関税措置を公表したが、このうち340億ドル分がいましがた実施となった。中国政府は中国政府で翌日16日に既に発表済みの報復措置である大豆、自動車など545品目、340億ドルの輸入品に対して25%の関税を今日から課す。残り160億ドル分は後日実施予定。この中国の報復に対してトランプ大統領は18日に2000億ドル相当の中国製品に10%の追加関税を発表。さらに、中国からの追加報復があれば、米国がさらに2000億ドル分を対象にすると示唆。

米中間の貿易摩擦過熱化の様相は残念ながら激しさを増してきた。米国が警告している分の輸入品は4500億ドル分あり、中国から対米輸出額は4298億ドルであることを考えると、すべてに関税がかかることとなる。これでは、中国として交渉もし難いところまで来ている。

これまで中国は対抗一辺倒でもなかった。自動車産業への外資出資制限の緩和や証券会社の外資過半出資の解禁など市場開放を発表して懐柔策をとってきたし、国家発展改革委員会は6月28日、外資系企業参入特別管理措置を公表し、外資出資の規制をかなり撤廃することを決めた。強い対抗措置ばかりでなく、時折懐柔策を取ることでバランスをとってきた中国は、かなり追い詰められた現状において懐柔策の模索や輸出入に頼らない内需盛り上げ、戸籍制度の緩和など既存の改革と金融規制の推進などの対応を考えるのではないか、と期待半分で見てもよいかも知れない。

そうした措置がとられず、貿易戦争過熱化となるのであれば、世界景気にはネガティブ、相対的には米国よりアジアや欧州など開放経済の国や地域が売られることになるであろう。ただし、中国への打撃が大きくなれば、対策として中国が財政政策を打ってくる可能性もでてくる。今後の世界経済、金融市場の動向を見る上で、これからの中国からの発表はとても重要となることは間違いない。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32683990V00C18A7MM8000/

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