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あなたの周りの世界は、見たままのものとは限らない ~ The world around you is not what it seems. #INGRESS

日経で面白いテーマの短期連載が始まっていた。

僕は2015年当時、とあるスマホゲームにハマっていた。それまでスマホアプリがスマホのファーストビューに「ゲーム」が入ることは、なかったのに!それは、本noteのタイトルが、キャッチコピーとなっている「INGRESS」です。スマホゲームといえば、ベットの上、移動中の電車、などのスキマ時間で行うことが一般的だった時代に、スマホのGPS情報を利用し、「現実世界の移動」が、そのままゲームの戦績に影響する、というもの。(ポケモンGoの前身のゲーム、と説明したほうが早いかもしれませんね)以前、別のメディアの寄稿でも、話題にしたことがありました。

この日経の連載の切り口、面白い。初回がメタバースで、2回目がリアル街歩き×SDGs。

歩き方」って、スマホの登場で、人間の所作として、パラダイムシフトが、起きていますよね。言わずもがな、「歩きスマホ」なんてのは、「功罪」の「罪」で語られることも多いかもしれません。逆に、マーケティング界隈では、「功」的に、位置情報(リアルタイム・行動)マーケティングなんて言われて、アクチュアルな(実際の)足跡(Cookie)的な意味合いで扱われたり(スマホのタップは、誤タップなどもあるが、リアルに足を運んだ行動は、嘘をつかない、的な文脈で。)

そして、タイムリーなんですが「外出すること・歩くこと」を強制的に制限する10日間を過ごしています(お察しください…)。そんな折、僕がハマったYouTuberさんがこちらの方。

バイク1台で日本1周をされているこつぶさん(YouTube登録者数20万人超え!)です。彼女のバイタリティあふれる動画を見ていると、早くこの1歩も家(部屋)から出ない生活を終え、見知らぬ土地にぴゅーーっと行ってみたくなりました。(出不精・引きこもりなのに。ちなみにバイクの免許は持っていないので、自動車免許に付随する原付しか乗れません。が、125ccくらいは取得してみたくなってきた。)

「歩き方」って、変わるか?

平均的な会社勤めや学校通いをしていると、「週5の勤務日・通学、土日休みのサイクル」が基本となり、平常の通勤・通学経路から外れる行動を行うことって、ほぼ無くなるのが、一般的な生活様式だと思います。
通勤・通学を「旅」ととらえると、(マーケティング界隈ではよくでてくる)いわゆる文字通りの「カスタマージャーニー」です。僕の持論なのですが、「マーケターは、ブランド(情報発信者)に都合のよいジャーニーを描きがちになる」というものがあります。あ、これは、カスタマージャーニーのプロセスや手法を否定しているものではなく、前後の文脈なく、認知や購買において、あまりにも(ブランド側に)都合よく「知って」「買う」というものを前提として設計をしがちではないか?という点です。当然理想形を描いてそれに対するアクション(施策)を行っていくことで、成功をおさめていくのですが、そもそもアクション自体が、都合良すぎなことが多いのでは?という点です。
人の「歩き方」を変えることが、できるくらいのコミュニケーション・アクションができているか?という視点です。

「帰宅時、家とは反対側の改札に降り立つこと」を起こすには?

僕の家の最寄り駅には、チェーン店のドーナツ屋さんがあります。今年、年始には、福袋が発売されていて、購入しました。その福袋には、毎月月替りで利用できるミシン目の入った紙の割引クーポンが同封されており、毎月お得にドーナツが買えるようになっていました。
しかし、僕は、今年、年始にドーナツ屋に行って以来、この7ヶ月、一度も来店をしていません。自分でも不思議です。常に財布にクーポンも入っているし、お店が開いている時間に帰宅することもあります。しかし、利用していない。なぜか。シンプルな理由が1つ。お店が「通常利用している駅の改札の反対側」なんです。距離でいうと数十メートルなのに。それが「めんどくさい」になっている。
よくテクノロジーベンダーの方々は、生活者のスマホに対して、GPSを利用して位置情報でクーポンをだして〜とか、Beaconを活用して通過検知をしてPUSH配信〜とか、テクノロジー手法の美辞麗句を並べて、メーカーやリテールに提案を持っていきますが、僕は、そこまで過信をすることはありませんでした。テクノロジーとしてはユニークだと思いましたが、「歩き方変える」までのコミュニケーション・コンテキストに欠けている、と思ったからです。テクノロジーや手法を否定しているわけでもありません。
(小売で人不足が叫ばれている時勢ではありますが)僕は、今でも、ドーナツ屋に帰宅客を店鋪送客するには、スタッフによる呼び込みが最強だと思っています。当然、常時無作為に、ではなく、顧客のライフスタイルをイメージした呼び込み声がけです。(同様に、剥がれているとか、色あせたポスターを張り替える、向き・角度を変えるだけのことなど。)

ドーナツの事例は、ちょっと極端でしたが、おそらく読者の皆様も、普段利用する改札の反対側、には、きっと年間通じて、さほど利用しないと思われます。そんな生活者の一般的なジャーニー=「歩き方」を変えるには、よっぽどのポジティブなインフルエンス(影響)がないといけない時代に。

先のYouTuberこつぶさんの情報発信は、そのポジティブなインフルエンスに溢れています。僕のマインドの中で、バイク乗ってみたいな、という心の小さな変化は既におきています。(実際に乗るとは言ってないw)
出不精・引きこもりの僕でさえ、見知らぬ世界に触れてみたい、という心には、十分に火がついています。(10日間の隔離生活もあいまってw)

あなたの周りの世界は、見たままのものとは限らない

本noteのタイトルを再掲します。INGRESSのコピーは、いままさに、現代の世界を捉えるのに、かなり意味深な問いをもなげかけていると感じます。
「歩き方」の方角を少し変えるだけでも、違った景色が見えるはずです。

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