それでも昨年11月から景気後退

政府の公式な景気動向指数研究会で景気の山・谷を設定するに当たっては、ヒストリカルDI(HDI)の試算に加えて、①転換点を通過後、経済活動の拡大(収縮)が殆どの経済部門に波及・浸透しているか(波及度)、②経済活動の拡大(収縮)の程度(量的な変化)、③景気拡張(後退)の期間について検討する。

そこで、これらについて具体的に見てみると、一致指数を構成する9の系列のうち、所定外労働時間、耐久消費財出荷、投資財出荷、営業利益の4系列が 2018 年9月までに山をつけたと事後的に判断される可能性がある。

また、波及度についても、残りの5系列のうち有効求人倍率を除く4系列が2018年10月にピークを付けている可能性がある。

このため、9系列中過半の5系列以上が2018年10月までに山をつけることになれば、日本経済はHDIが50 を下回る直前の2018 年10月あたりが景気の山となり、翌11月あたりから景気後退局面入りと機械的に判断される可能性がある

なお、量的な変化については、一致CIが2019年1月に大きく低下しているし、有効求人倍率も頭打ちとなっている。

したがって、これらの指標の動向を勘案すれば、機械的に判定したHDIが50%を下回っても、景気の波及度や量的な変化といった観点から2014 年4月~2016年2月までHDIが 50%を割ったのに景気後退と認定されなかったが、今回こそは景気後退局面入りと最終的に判断される可能性がある。

ちなみに、今後の景気が更に悪化し、2018年10月が景気の山となれば、今回の景気拡大局面は71か月となり、戦後最長の景気回復 73か月は更新できないことになる。


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