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解雇規制議論-成長産業へのリスキリング加速を目指す

こんにちは。リデザインワークの林です。
自民党総裁の議論でも、解雇規制緩和について盛り上がりましたね。

解雇規制緩和が良いか、悪いかという議論ではなく、
そもそも何を目指したいのか?目指す姿に向けて、この手法は優先順位が高いのか?また、この手法を取る際にケアすべきことや、ステップはどのようなものか?

この問いの順番をしっかり見据えて議論を深めていく必要があると思います。

目指す姿は、成長産業への人材流動化

以前にも書きましたが、これから日本において労働者人口が圧倒的に不足していきます。

WORKS 未来予測2040

10年後の2034年には労働力不足が600万人に劇的に拡大していきます。今の人材不足とは比較にならないレベルで不足していきます。
国内において、成長産業と衰退産業はより明確に分かれていきます。衰退産業において、定年まで雇用を約束することは不可能です。

また、同じような業務を繰り返し、成長が鈍化し、スキルが不足し、働かないおじさんを許している余裕もありません。

故に、解雇規制緩和が進むと、働かないおじさんたちが真っ先に解雇され、スキルがないので、思うような転職が出来ない、結果年収が下がるという構造が発生すると思います。

しかし、こんなことが実現したいわけではないはずです。

実現したいのは、圧倒的に人不足が発生する中で、成長産業で年々希少になっていく「人材」が活躍できるように、スキルを磨き続けていく社会を創っていくことです。

解雇規制緩和の前に、適切な評価とフィードバックを

解雇規制緩和の前にやることはたくさんあります。一番重要なことは、適切な評価とフィードバックです。

これまでは、年功序列の中で、スキルを磨いたり、思うように発揮していなくても、年収が上がっていきました。

これからは、期待する仕事のレベルをしっかり設定する、成果が不足する場合は、マイナスの評価を実施する。そして、足りていないことに対しては厳しいことでもしっかりフィードバックすることです。

報酬が下がるのは・・・、あんまり厳しいこというのは・・・かわいそう。という温情によって、適切な評価と適切な本人へのフィードバックがなされていません。

これは、本当に本人にとっては厳しい環境であり、温情のようで冷たい職場です。本人が自分の足りない部分に気づけない。そして徐々に挑戦的な仕事が割り当てられなくなっていく。結果、スキルが陳腐化し、会社の中にいても、社会に出ても活躍できない人材になっていってしまうのです。

チームは有意義で率直なフィードバックを切望している。従業員の72%は「マネジャーが批判的なフィードバックをすること」は自分のキャリア開発において重要だと評価している一方、マネジャーがそうしたフィードバックを提供していると考える人はわずか5%だ。

成果を上げるために、不足していることは何か、どのようなスキルを磨く必要があるのか、しっかり本人のキャリアとスキル、会社の期待をすり合わせることで、スキルフルな人材育成を目指す。これが前提です。

スキル獲得を本気で目指す社会の後押しとしての期待

その上で、解雇規制緩和に対する僕のスタンスを書いておくと、評価制度で期待を果たせていないことに対して、マイナス評価を伝え、改善点もフィードバックをする取り組みをしっかりと行った企業に限っては解雇という手段の規制を緩和するのは、一人一人のリスキルへの真剣度を高める、成長産業への人材の流動化が進むという点において賛成です。

ただし、これまで適切な評価をせず、不足に対するフィードバックもせずに本人と向き合ってこなかった会社が、外に出て活躍できる力を持てなくした社員に対して解雇を進めていくのは、目指したい姿でもないですし、不の側面の方が大きいと考えており反対です。

みなさんはどうお考えでしょうか?
今後人材の活躍や成長を大きな方向でどう進めていく未来が理想なのかを描きながら、解雇規制緩和はどういう位置づけなのかを考えるきっかけになれば幸いです。

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