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「システム1」「システム2」〜直感に頼らず寝かせることで後悔を減らしたい

心がざわつくメッセージを受け取った時にどう反応するかーここ10数年くらいで自分の対応の仕方が変わってきたなと思っています。以前は脊髄反射的に自分の信じる「正しさ」を軸に返事を書いてそのまま送信し、衝突を進んで買いに(或いは売りに)いくことが多かった気がします(反省)。今もモヤモヤしたりイライラしたりするところは相変わらずで制御し切れていないのですが、ここ最近の自分は、すぐには反応せずに自分の考えを寝かせるようになったなと感じていました。

おそらくそれは不用意な衝突や相手の気分を害することを回避する術であり、その衝突で傷ついたり疲れてきた自分を守るために自然に覚えた手段だと思うのですが、それ以上に、コミュニケーションで後悔することを減らしたいと思うようになったからかもしれないなと、最近「システム1」「システム2」という発想について学び、しっくりくるようになりました。


「システム1」「システム2」とは

行動経済学の生みの親であるダニエル・カーネマン氏は、人間の脳には早い思考の「システム1」と遅い思考の「システム2」があると指摘した。人の意思決定の多くは直感的なシステム1でなされる。意思決定の質を上げるには、システム1だけで考えることを我慢し、理性的なシステム2を使って考えるというプロセスを繰り返し経験しなければいけない。

日経新聞『しくじり投資、行動経済学で斬る 心のワナ避けるには』

反論したくなっても、グッと飲み込み思考する「システム2」

異論を唱えたくなるメッセージを受け取ると、即座に反論して白黒つけたくなる…この思考と反応は「システム1」。結果うまくいく場合はいいのですが、白黒つかないことも、ついたとしてもモヤッとした緊張感やしこりが残るコミュニケーションに後悔したことが何度もありました。

それを自覚するようになってからは、返信を書いたとしてもすぐに送信はせず、一晩寝かせ、翌日読み返し理性的に書き直した上で返信するようになりました(「システム2」)。近頃はどうしても今すぐに整理しておかなければならない論点ではないと思う場合は保留にし、時機を待つということにもトライするようになりました。

衝突から逃げているだけ?かもしれないけれど、もう少しトライしたい

自分の中で燻り続ける論点についていつか時がきたら話せるといいなぁ…と思う一方で、衝突からただただ逃げているだけかもしれないなと、論点に対する考えにも自分の向き合い方にも腹落ちし切らないでいたところで学んだのが、「システム2」の考え方でした。

少し長い目でコミュニケーションに向き合うようになってきていることが、「システム2」ということなのであれば、それが意思決定の質を上げる鍵なのであれば、繰り返し意識してみることで、どんな結果が得られるかもう少し実験してみたい…というのが私の現在地です。

寝かせてみることで気づく自分の「正しさ」の限定性

寝かせる時間を取ると、直感でモヤっとしたことに対して、自分自身の捉え方や感情が変化することに気づきます。「システム1」でおかしいと思ったことに対しても、時間をおいてみると、自分自身がそれもありかもと思えるようになったり、そういう風に捉えることもできるかと許容できるようになったり。

自分の中でもこれだけ考えが動くのだから、自分とは別の他人の「正しさ」が、その瞬間の自分の「正しさ」と相容れないことがあるのは当然だなとも思うようになりつつあります。

「意思決定の質を上げるには、システム1だけで考えることを我慢し、理性的なシステム2を使って考えるというプロセスを繰り返し経験」…なかなか辛抱強く訓練していく必要がありそうですが、その先の世界が見えたら、またご報告できるといいなと思っています。

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