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コロナ禍で登録者急増の米オンライン講座大手Coursera(コーセラ)とUdemy(ユーデミー)

今週注目したのは米大手教育系テック・スタートアップ、Udemy(ユーデミー)Cousera(コーセラ)という会社の相次ぐ追加資金調達関連のニュースでした。背景にはコロナ禍でオンライン教育の需要が急増していて、今後もその傾向が続く見通しがあることが伺えます。

オンライン教育に特化した企業・サービスは、2012年頃に「MOOCs(Massive Open Online Courses)の時代」としてもてはやされたものの、登録しても実際に講座を最後まで終了する人が実際あまりいないという実態も明らかになるにつれ、あまり話題にならず、一部企業がリストラや買収されてしまった過去の経緯がありました。その後各社が工夫を重ねることでじわじわ進化し、今回のコロナ禍で多くの人が物理的に学校に通うことができない状態に直面する中で、急速に脚光を集めているようです

Coursera(コーセラ)とは

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コーセラは、スタンフォード大学の著名なコンピュータ・サイエンスや人工知能の研究者であるAndrew Ng氏とDaphne Koller氏により2012年に設立されたオンライン学習プラットフォームです。スタンフォード大学やイェール大学など、約160もの有名大学の講師が教える授業を現在4,500講座提供していて、その他グーグルやIBMなど約40社の企業もコースを提供しています。

無料の講座もありますが、49ドル(日本円では約5300円)の費用を払うことで終了証(Certificate)を発行し、履歴書等に記入することができるしくみになっています。The Informationの記事によると、新規登録者数は「今年3月中月から7月中旬にかけて500%増加した」と報じられていてますが、他の記事では「3月中旬から5月中旬にかけて1,000万人の新規ユーザーが追加され、前年の7倍のペースで新規登録が行われた」と報じられています

3月にはパンデミックで対面授業の実施が困難になった大学に対し、「Coursera for Campus」という学習講座を今年9月30日まで無償で提供する取り組みを開始し、これまでに約140万人の学生が利用しているそうです。

The Informationの記事では新規資金調達として1億3,000万ドル(約139億円)を得て、企業価値は25億ドル(2,674億円)と評価されてます。将来的なIPOの可能性もCrousera社のCFOが示唆しています。

Udemy(ユーデミー)とは

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ユーデミーは2010年創業の教育スタートアップ企業で、プログラミングやビジネススキルなど、様々な実用的スキルアップに関する関する動画講義を誰でも販売できるオンラインプラットフォームです。講座数は15万以上で、受講者は今年の2月の時点で5,000万人を超えると報じられてますが、直近の報道では今年の2月から3月下旬にかけて新規登録者数が425%急増したとも報じられています。今年の2月に日本のベネッセホールディングが5,000万ドルの出資を行ったことで国内でも認知度が高まっているようです。

そんな中、2月からまだ半年も経ってない状態で、前回の企業価値評価額20億ドルから30億ドルに引き上げる形で追加の資金調達が模索されていることが、関係者の証言として今回The Informationで報じられています

遠隔・オンライン教育に対する期待は国内の動向を見ていても否応無しに高まっていることは感じるものの、いざ実際にその分野に投じられる資金、そして登録者などの規模感を見る限り、米国(そして中国・インド等)の貪欲さに遅れを取っているように感じます。

コーセラの講座にはデータサイエンティストになるための講座やプログラミングに関する講座などが目立ちますが、眼を引いたものとして、イェール大学(Yale University)の人気講座を受け持つ心理学教授のローリー・サントス氏が無料公開している「The Science of Well-Being(幸福学)」という講座があります。なんと現時点で世界中から276万人が登録履修しています。

全ての講座ではありませんが本講座のような人気講座は講義内容がボランティによる翻訳や自動翻訳がされていて、日本語を含む多言語で受講することができます。

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日本発のオンライン教育のプラットフォームが拡がることに期待を寄せつつも、こうして翻訳サービスなどを通じて海外サービスからの恩恵を得ることが可能になっていることはとてもありがたいと思います。学校現場や職場、そして個人の学びの手段として、こうしたグローバルな学びの機会を活用していることがますます大事になっている、と感じます。

Photo by Nick Morrison on Unsplash
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