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リスキリングでいちばん大切なのは「学ばざるを得ない環境に身を置いてみる」こと。

今回の #日経COMEMO のテーマは #ベテラン社員に学んでほしいスキル ということで。

リスキリング(再教育)が注目を集めている。デジタル人材を社内で育てるには必須であり、大量の研修用コンテンツを用意する企業もある。果たしてもくろみ通りに効果を上げられるだろうか。

「リスキリングへの関心は高まっているが、仕組みが整った企業は非常に限られている」。リクルートワークス研究所の石原直子主幹研究員はこう指摘する。例えば誰がどんなスキルを持ち、今後必要なスキルが何かをきめ細かく把握し、可視化しているケースは少ないという。

「社会人の学び直し」は古くて新しいテーマだ。

4年前、筆者が経済産業省の「人材力研究会」に委員として参画していたが、まさに当研究会の最大のテーマが「リカレント教育」(社会人の学び直し)をいかに普及させるか?という点にあった。

…という話をすると、「リカレント教育」と「リスキリング」って何が違うんだ?!🤔という質問をよく頂くので日経新聞の記事を引用する。

似た概念に「リカレント教育」があるが、リカレントが通常、キャリアを中断して大学などに入り直すことを意味するのに対して、リスキリングは仕事を続けながら自身のスキルを継続的にアップデートしていくことを指す。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展に合わせた実践的な職業訓練を意味することが多い。

日本でなかなかリカレント教育が進まない背景として、「キャリアを中断して大学などに入り直す」のはなかなか勇気が要る決断であるにもかかわらず、その恩恵(リターン)が少なく、リスク回避を好む日本人にはなかなかマッチしない考え方なのではないか…?という指摘も多かった。

そういう意味では、「仕事を続けながら自身のスキルを継続的にアップデートしていく」という、会社を辞めることを前提としない「リスキリング」の方が日本人には馴染みやすいのかもしれない。

「使ったことのないツールを使わざるを得ない環境」に身を置いてみるべし。

さて、本題に戻ろう。

今回のテーマは  #ベテラン社員に学んでほしいスキル とのことだが、なかなかこれは難しいお題だ。

というのも、「リスキリング=仕事を続けながら自身のスキルを継続的にアップデートしていく」とするならば、それはいわゆるベテラン社員に限った話ではなく、新入社員やフリーランス、経営者も含めたあらゆる職業人(あえてビジネスパーソンとは言わない)に求められていることだからだ。

若手社員=デジタルに強く、ベテラン社員=デジタルに疎い、というのは全くもって偏見で、9割以上の大学生がPCを所有しているものの、7割以上はPCのスキルに自信が無いと感じている。そして人事採用担当者の約6割も、「新入社員にPCスキルの不足を感じる」と回答した。という調査結果から明らかなとおり、今の20代若手社員はスマホファーストどころかスマホオンリーのため、ブラインドタッチどころか「人差し指でキーボードを入力している」という新入社員も少なくない。

WordやExcel、PowerPointといった古典的なITツールのみならず、SlackやZoom、最近だとNotionやCanvaなど、どんどん新たなITツールが登場し、それらを知っているかどうか、使いこなせるかどうかで生産性に雲泥の差が出るのは間違いない。

が、若手社員でも知らない人は知らないし、50代のベテラン社員でもバリバリ使いこなせている人はいる。

知っているかどうか。使いこなせているかどうかを分かつものは何か。

それは「使ったことのないツールを使わざるを得ない環境に身を置いているか否か」に激しく依存する、と筆者は考えている。

約1年半前、コロナ禍が世界を覆い尽くし、日本中の企業がリモートワークせざるを得ない環境に激変した2020年3~4月頃を思い出してほしい。

今まで見たことも触ったこともなかったオンラインミーティングツール(ZoomやTeams、Google Meetなど)でのWeb会議に誰もがあたふたしていた中、「Zoomはこうやって使うんですよー」と、教えて回っていた人が、あなたの会社でも、きっといたはずだ。

その人はなぜ、人に教えられるレベルでそのツールを使いこなせていたのか。多くの場合はおそらく、「社外の何かしらのチームやコミュニティに所属しており、そのツールを使わざるを得ない環境にいた経験があったから」ではないか。

実際、筆者の知人で「会社の特命Zoom係長として、マニュアルを作成し、全社でレクチャーして回っていた」という会社員が複数名いたが、例外なく全員が複業(ボランティア含む)だったり、所属しているコミュニティでZoomの利用経験があったため、いち早くキャッチアップして、教える側として社内で頼られる存在になったーーと語っていた。

実際、筆者が経営している会社やコミュニティ(IN / OUT LAB)では、コミュニケーションはすべてSlack、ドキュメント管理はすべてNotion、クリエイティブはすべてCanvaで作成して、ノーコード開発ツールのbubbleでアプリを開発して…というカタチで新しいツールをガンガン積極的に取り入れるようにしている。

その結果、「はじめて使うので使い方がわかりません…」という方も少なくないが、メンバー同士で「わからないことは遠慮なく聞いてね!なんでも教えますよ!」と聞きあうカルチャーがあるので、「知らないことを知ろうとする姿勢」さえあれば、誰でも必ず使えるようになり、そのスキルが結果的に本業やその他の活動に活かせました!という声も少なくない。

・・・ということで、もし「リスキリング」をすることで、自分の知識やスキルをアップデートし続けたい!という気概を持っているのであれば、複業でも、オンラインコミュニティに参加するカタチでも何でも良いので、現在所属している職場やチーム以外の「サードコミュニティ」に参画して、「使ったことのないツールを使わざるを得ない環境に身を置いてみる」こと、さらに言えば「知らないことを学ばざるを得ない環境に身を置く」ことを全力でおすすめしたい。

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