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爆音OK/訳あり物件シェア コロナ禍を経て変わる住宅ニーズ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

3年以上に渡るコロナ禍による制限も雪解けとなり、生活にいつもの日常が戻ってきているのを体感します。対面での交流や飲み会なども増えてきており、また都内でもそこかしこで海外からの観光客を見るようになりました。

一方で、変化したまま今後も続くだろうというものもあります。例えば、リモートワークは出社と併用したハイブリッドワークとなり、ミーティングを設定する際にも「今回はリモートでやりますか?」などという会話が当たり前になりました。これまでの日本の職場ではほぼ見られなかったことであり、個人的にはポジティブな変化だと感じています。今後の労働人口減も踏まえると、働きやすさを向上するための施策はもっと増やすべきです。多様な選択肢が生まれることで、希望する多くの人が労働参加できる機会が増えることを願っています。

このような変化は、住宅事情にも現れてきています。従来の集合住宅、特に単身向け住宅は広さなどの快適さよりも、通勤のしやすさに重きが置かれていました。平日は出勤するので「家は寝るところ」と割り切ったとしても特段問題がなかったからです。しかしリモートワークが導入されたことで家で過ごす時間が長くなりました。快適さや仕事のしやすさを考えるようになり、仕事スペースの確保や声を出しても問題のないレベルの遮音性などにも意識が向くようになりました。そのようなニーズの変化を捉えて急成長している分野があります。防音マンションです。

ご近所さんに一切の遠慮なく、爆音で生活する人々がいる。こんな書き出しだが、社会問題の話ではない。どんな大きな音を鳴らしても近所迷惑にならない防音マンションが人気だ。かつては音楽家などに需要が限られていたが、在宅時間が増えた新型コロナウイルス禍を機に居住者の幅が広がっている。

「くそおおおおおお!!!!!!!」。会社員の男性(32)は人々が寝静まる深夜に自宅マンションで叫ぶ。ほぼ毎日ゲーム実況をユーチューブで配信している。プレイするのは主にシューティングゲームで「敵にやられると深夜だろうが大声が出てしまいます」。

男性が住むのは防音性能を売りにした「ミュージション」の一室。その名の通り音楽家向けのマンションだ。リブラン(東京・板橋)が2000年に提供を始め、現在は首都圏に30棟、計727戸を構える。半数近い14棟が20年以降の竣工と、コロナ禍で急速に増えた。相場より3割高い家賃ながら空室待ちの入居希望者が2800人もいるという人気ぶりだ。

日経電子版

実は私自身もコロナ中にオンラインイベントや収録が激増したため、防音マンションを事務所にしようと検討したことがあります。空室が全く見つからず、見つけたところも希望とはだいぶ異なる条件だったため見送った記憶があります。それまではこのような物件が存在することすら知らなかったため、良い意味で驚きました。

先ほども少し触れましたが、リモートワークで明らかになったことにひとつに、日本の住宅には書斎(仕事スペース)があることが少ないということがあります。仕事は会社でするものだったのですから当たり前なのですが、特に地価の高い都市部ではなおさらです。家で過ごす時間が増えたことで趣味が増えた方もいらっしゃると思いますが、仕事部屋もないのに趣味の部屋をつくることはさらに夢物語です。このようなニーズに対応するための新ビジネスも出てきました。

東急としては、雪が谷大塚駅ビルのように借り手が付きにくい「訳あり物件」の活用策として期待する。2018年の入社以来、沿線商業施設の運営・開発に関わってきた吉田氏には、ある課題意識があった。「大規模開発などで数年後に取り壊しが決まっているビルはどうしても空いてしまう。飲食店などは、ある程度の期間がないと改装費用を回収できないからだ」(吉田氏)

住宅も同じ。駅から遠かったり、日当たりが悪かったりすると人気はどうしても落ちる。ただ、趣味のために週1〜2回通う程度なら、アクセスの悪さは許容できるだろう。日当たりが悪くても、シアタールームなら何の問題もない。

日経電子版

物件の価値はニーズとのマッチングです。これまではいかに通勤しやすいかが重視されており、それが賃料に反映されていました。駅徒歩5分以内が重宝されているのもその理由が大きいでしょう。異なるニーズが出てくれば違うマッチングも可能です。新たな需要を発掘してうまく合わせることができれば、今後増加する空き家問題にも適用できるかもしれません。


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タイトル画像提供:EKAKI / PIXTA(ピクスタ)


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