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キャリアとしてスタートアップを選ぶことの難しさ

半年ほど前、下記のようなnoteを書きました。スタートアップが若い人たちに人気だという記事を受け、その適性やキャリア選択について言及したものです。

その後スタートアップ投資が世界的に沈静化し、更に潮目が変わってきています。

象徴的な影響としてはこちらのスタートアップのEXITを巡る動きについての記事があります。スタートアップのEXITには大きく分けて上場とM&Aがあります。最初から「我々は買われること(M&Aされること)を目指します!」と表立って言う企業は少なく、一応は上場を目指します(ただし経営者の腹の内は分かりません)。下記の記事ではスタートアップのEXITが上場ではなく、76%がM&Aを選んだというものでした。

私自身スタートアップやベンチャー企業が中心のキャリアなので所属企業が他社をM&Aしたり、過去在籍企業がTOBされたりと事業を人ごと丸々売ったり買ったりされたりというところには近しいところがあります。私自身は投資などを受けていないスモビジですが、取引先にはスタートアップ企業がいくつかあります。2022年の創業当初、リスクヘッジのために5社程度のスタートアップ企業と契約を結んでいました。

当時の思惑としては「いくつかの企業との契約が終わっても良いようにしよう」という設計だったのですが、まさかのスタートアップ界隈全体が投資不順に陥り、全て契約終了するという形になったのが2023年です。その時の縮退について共通して見られたポイントをまとめたのが下記のnoteでした。

今回はスタートアップとお金に着目した人の流れとキャリア選択についてお話ししていきます。

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エクイティファイナンスとは言え、投資回収の交渉は厳しい

銀行借り入れなどのデットファイナンスと異なり、投資であるエクイティファイナンスは返済の義務はないのですが、身銭を切っている投資家目線では「ダメだったので諦めます」と言われても諦めきれないというところです。VCなどの話を聞いていると銀行借り入れをしながら投資をしているところもあるため、「結局は誰かが借りた金」であり「誰かが返済義務を追っている」ものだったりもします。

そんな中、下記のような記事がありました。2500万円の投資を受けたものの、投資家から「ファンド期間を延長する」という話になったり、買戻しを迫られたりして結果、2000万円で買い戻したというお話です。タイトルからして「VC選びが失敗した」という雰囲気が漂っているのですが、このケースで言うと2000万円を集めるのは大変だったでしょうが、結果的に投資家は500万円損をしているので単純に最後の収支だけ見ると良い投資家だったのではないかとも言えるでしょう。

借りたお金はもちろんですが、貰ったお金も返そうよとスモビジおじさんは思います。

スタートアップに関わるには経済、投資、法律に興味がないとリスクがある

先のクローズアップ現代ではスタートアップの光と影について特集がなされていました。破産して夜逃げしたホバーバイクのA.L.I. Technologiesのお話と、現在代表が名前を変えてドバイに逃げたため指名手配を受けているトケマッチが取り上げられていました。ほぼ影の話しかしていなかったように思います。

A.L.I. Technologiesなどは行政も巻き込んで支援していたため確からしさがあったように思いますが、実際のところの航続距離や時速などは嘘であり、全て動画編集で乗り切っていたとのことです。

上場経験などがある身からすると俄かに信じがたいのですが、張りぼてでお金を集めて居たり、どう見てもポンジスキームだったり、「法律的にグレーゾーンを攻めるのがイノベーションであり、儲かるのだ!」と言いながら思い切り違法だったりすることがそれなりにあります。

それなりに売り上げているスタートアップの社員さんからキャリア相談を受けたこともありますが、いわゆる年寄りをターゲットにした押し掛け高級品買取が主要事業だったこともあります。ある程度ぶっとんだ思考でないと難しいのがイノベーションでありつつも、流石にそれは法的・倫理的にどうなのでしょうというのが混じっているのもまたスタートアップです。

スタートアップへの参加は狂乱に身を任せるということ

2022年以前はコロナ禍の金余り現象により、スタートアップ投資は活況でした。事業を進めるために高めの給与提示による採用合戦がありました。特にスタートアップ投資と人材紹介をセットで行っている企業などでは提示年収も上がりやすい傾向にありました。人を集めるためにフルリモートやワークライフバランスと言った働きやすさを訴求しているスタートアップは今でも少なくありません。

スタートアップはあくまでもまだ見ぬ新しい価値を生むことがコンセプトであり、そこに共感した人たちの投資によって成り立っている特殊な業界です。働きやすさなどは人を集めるための苦肉の策です。組織として確からしい物事も特に無く、あるものはコンセプトと熱狂です。

熱狂を抱く一方で、きちんと経済や経営、投資、法律に関する興味がないとマネーゲームに巻き込まれて終了してしまいます。そういったことを理解した上で参加する必要があると、スモビジおじさんは考えています。

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