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考古学・セラピスト・転職から学ぶ自由さ

成功と失敗、規則と自由、常識と革新。視点を少し変えるだけで、世界の見え方が変わることに驚かされます。

考古学者の視点

佐賀県吉野ヶ里町、奈良県明日香村と遺跡発掘のニュースが続いています。

以前、何かで読んだことがあります。

考古学者は、事前に入念に調査をし、ここぞという場所を特定し、資金を集め、発掘調査に着手する。しかし、そこから、何も出てこなかった場合。莫大な資金を注ぎ込み、多くの人を巻き込んで、長期間にわたって実施した、その発掘調査の失敗という状況。

資金調達して市場開拓に臨むベンチャー経営者のようで、他人事ではない、その重圧を感じます。キリキリと胃が痛くなりそうな状況を、その考古学者は、次のように語っていました。

「そこには、なにもないことが分かった。それは、成果であり、失敗ではない」

ものすごく救われる言葉だと思いました。

西海岸と東海岸のセラピスト

人間関係をコミュニケーションシステムとして見立て、介入をかけていく、ブリーフセラピーという臨床心理の手法があります。

コミュニケーションシステムとして見立てるところが、サービスロボットやスマートハウスなど、人ならざるものがコミュニケーション対象となる時代において、社会的に大きな価値提供できるものと感じています。そこが非常に興味深く、十年以上前からサービスデザインの際に監修に入っていただいたり、学会で発表させていただいたり、理事の方と一緒に会社をつくったりしています。

そんな中で、面白い話を聞いたことがあります。かなり以前のことなので、ディテールやニュアンスは異なるかもしれませんし、その方の主観が入った話かもしれず、事実とは異なる部分もあるのかもしれませんが、おおよそ、次のようなことでした。

アメリカのブリーフセラピーには、西海岸と東海岸で、セラピストの姿勢に大きな違いがある。クライアントの課題を解決する役割を担う自分は、課題を抱えていたり、課題を経験したりしてはいけない、と考える人。逆に、自分が課題そのものを経験したことがなくて、クライアントの課題を解決できるのか、と考える人。東海岸では前者が多く、西海岸では後者が多く見られる、というものでした。

VCからベンチャーへ

先日、ベンチャーキャピタルのキャピタリストからベンチャー企業の要職へ転身した方とお話する機会がありました。

VC時代に、投資先のベンチャー経営者に対して、取締役会等で伝えていた数々のアドバイスを思い起こし、それをベンチャー企業に身を置く立場になったときに、果たして実行できているのか。そんな風に、悩むことがある、とのことでした。

自由さ

考古学者は、「何も出てこなかった」状況を「成果であり、失敗ではない」と捉えることで、発掘の本質と成果を再定義しました。

ブリーフセラピーのセラピストは、自身の課題経験の有無についての前提が逆転したとしても、いずれの場合でもクライアントの課題解決につながる活動をしています。

そして、VCからベンチャーへ転身した人は、以前のアドバイスを自身が実行する立場となることで、そのアドバイスの深い意味を理解する機会を得ました。

「認識のシフト」あるいは「視点の転換」をすることで、世界の見え方がまるで変わります。立ち位置が変われば、自ずと、そのシフトや転換が起こったりもします。望むと望まざるとに関わらず。

ほんのちょっとしたきっかけで、世界の見え方が変わるのかもしれません。そう思うと、私たちは、とても自由なのではないか、と思いました。

リフレーミングすることで、世界は驚くほど違って見えます。世界を変えること、世界が変わって見えること。そのいずれでも、自分を取り巻く意味空間は別物となり、新たな可能性が見えてきたりします。

行き詰まるとき、息詰まるとき、この認識のシフトと視点の展開によるリフレーミングで、突破口を見出していきたい、と思います。

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