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仕事を通じた社会貢献 実感のカギは企業のパーパス

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 本記事は日経朝刊投稿募集「 #仕事で社会貢献を感じた経験 」への寄稿です。

社会貢献というと、メセナなどの企業が直接見返りを求めない芸術文化支援やCSR(企業の社会的責任)、個人レベルではボランティア活動などが思いつきます。東日本大震災をきっかけにボランティア休暇を制度として設ける企業も増えてきました。

人材マッチングのパソナ東北創生の戸塚絵梨子社長(33)は震災の2カ月後、宮城県山元町にいた。集落が津波にさらわれた光景は「想像以上だった」。泥かきを終え帰京する道中、もどかしさを感じた。「自分は被災地に何ができるのか」。
新卒で入社したパソナでボランティア休暇を取り、釜石市の一般社団法人で働く。ボランティアを受け入れ、社会人や大学生、高校生らが現場で力を発揮していった。

このように社会貢献というと非営利の事業を指すことが多く、もっと言うと「NPO事業でお金を稼ぐことが悪い」ようなイメージもあるのではないでしょうか。これは大きな誤解の1つだと思います。

株式会社は出資者(株主)がおり、余剰利益は関係者に分配されていきます。そのために事業で利益を出すことが求められる構造であり、目的もそこにあります。一方で、NPO法人の場合は「利益を関係者に分配しません」。余剰利益はそのまま翌年度の活動資金に当てられます。解散するときにも余剰金は関係者に分配することはなく、国や自治体や公益法人などに寄付することが求められます。

一言で言えば、利益のために活動するのが株式会社で、活動するために利益をあげるのがNPOという感じでしょうか。この誤解のためにNPO法人がサービス事業をしにくかったり、職員が低報酬でやりがい搾取のような構図になっているのは本当にもったいないなと思います。

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最近では国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)が多くの社会課題を挙げており、株主の目も本業がどのようにSDGsに沿っているのかを評価する機運が高まっています。特に、緊急性の高い気候変動リスクに対してはCOP26にあわせ情報開示の仕組みが提案されるなど、企業としての開示義務となっていくでしょう。

第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の開催にあわせ、国際会計基準(IFRS)をつくってきた英国の財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」の設立を発表した。金融監督当局などの監視のもと、環境や社会問題に関する情報開示の仕組みを整える。

社会の企業を見る目が社会貢献に向かっていることはわかりましたが、私たち個人レベルで社会貢献を実感することはあるでしょうか? ここで重要になってくるのが、企業のビジョン・ミッション、もしくはパーパス(目的)です。

私が勤務するLinkedIn(リンクトイン)は、非常にビジョン・ミッションが強い企業で、日々の仕事の中でも常にそれを意識していますし、そのようになる仕組みを備えています。世界中のどの社員に聞いても、すぐにビジョンが返ってくるレベルです。私たちはSNSを運営しているのではなく、ビジョンである「働くすべての人に、経済的な機会をつくる」ためにSNSを中心としたサービスを運営しているのです。

このビジョンはSDGsと言われる前からあるものですが、雇用や働きがいというのはSDGsの中にも入っています。今となっては日々の仕事がより社会貢献につながっている実感となっています。

また、直接的に社会貢献をする専用のチームもあります。従業員のボランティアグループもたくさんあるのですが、Social Impactチームは世界各国のNPOなどと連携して「LinkedIn Coaches」というキャリア支援プログラムも運営しています。わたしもプログラムに参加してキャリアのメンタリングセッションをしたことがあります。

また、コロナ禍における仕事探しの支援の一貫として、需要が特に高い職種に必要なスキルを学ぶeラーニングのコースを公開しています。これらは本来法人向けに販売しているソリューションですが、社会貢献活動の一貫として行っています。


実は、仕事は社会の要請と紐付いていますので、すべての仕事も究極的には社会貢献であると言えるでしょう。それを実感できるかどうかは、目の前の仕事がどこにつながっているかがわかること。つまり、企業のビジョンやパーパスが腹落ちして日々の仕事に邁進できているか次第なのだと思います。

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タイトル画像提供:Chinnapong / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #仕事で社会貢献を感じた経験


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