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子どもに教えてほしい。自分の欲望のために消費した方がよっぽど誰かのためになる事を

2020年の家計調査(二人以上の世帯)の結果が発表されましたが、当然ながら旅行や外食が減った分、全体の消費支出は減りました。その代わり、貯蓄額は増えています。これは、例の10万円の給付金の分なのでしょう。

2000年を100として消費支出の推移を見ると、ここ20年間ずっと下降基調にある。可処分所得と消費支出は基本的には正の相関があるのですが、2020年だけは逆。

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まあ、不安があるから貯蓄にする気持ちはわからなくもないけど、所得が増えても消費しないというこの状況こそ不景気の入り口そのものなんです。貯蓄は景気を動かさない。

10万円の給付金支給が決定したとき、僕は以下のようなnoteを書いています。

僕ら全員に一律支給されるこの10万円とは、僕ら国民に与えられたwithコロナ社会における消費予算です。ひとりひとりがどう使うかが試されています。 もらわないなんて愚かだし、もらって貯金も最悪。消費するための予算ですから、当然貯金に回したって意味がない。この10万円の消費とは、コロナとの戦いにおける我々国民一人一人が果たすべき役割でもあります。医療や小売り、交通インフラや物流従事者の方々など、この時期も働き続けてくれる人たちとは違う形で、私達は消費をして戦うのです。与えられた10万円という武器で、あなたはどう戦いますか?

「貯金なんてするなよ、使えよ!」という話を書いたのですが、案の定、貯金というか使わないでそのままの人がいかに多かったという話。残念です。結局、10万円給付するかどうかで国会がもめてた時、麻生さんが「どうせ、お前ら、もらったって貯金するだけで使わねえじゃねえか」と言ってました。結局、彼の言った通りになったということですよ。みんな悔しくないんですかねえ。

もちろん、中には、巣ごもり消費として家電などに使った人もいるでしょう。貧困のあえぐ人は日々の食費などに即充当した人もいるとは思います。が、もらった国民全体の消費から見れば、それは一部でしかなかったようです。

一部、再度の給付金をけしかける輩がいるようですが(某氏の記事は、そう書くことで自分のヤフー記事のPVがあがってPV報酬をもらえるからであり、決してみんなのために書いてるわけじゃないよ)、僕は大部分の使わない人達に再度配る必要性を感じません。配るのであれば、前回の給付金を使った人だけにすればいい。


本当に「豊かな人」っていうのは「お金持ち」ではなく、「お金を使える人」を指します。

投資してもいいし、起業して従業員の給料にしてもいい。好きなモノコトに消費してもなんでもいいんだけど、入ってきた金を上手に使える人こそが実は結果的にお金を得る人になります。

そもそも、お金は使うためにあるのであってそれ自体を所有することは目的ではない。なのに、貯め込むだけで使わないって、それは「ケチ」というより「お金の価値を自ら否定」してる行為なのです。

なぜ貯金は経済を回さないのか?

たとえば、10万円のお金をもっていたとします。貯金すれば10万円分預金残高は増えますが、それ以上でもそれ以下でもありません。今ほとんど金利がつかない状況ですから、それを銀行に入れておいたとして利子なんかほぼゼロです。そして、使わないので10万円は10万円としての価値以上にも経済上はなりません。

ところが、その10万円を仮に飲食店での利用に全部使ったとしましょう。飲食店で一回10万円は高いですが、説明上はわかりやすく1回で使ったとします。

あなたが支払った10万円のうち、お店の原価に相当するのは70%くらいの7万円です。その7万円の中には、食材を購入する費用や家賃や従業員のお給料が入っています。

業態によっても比率は異なりますが、仮に従業員の給料を売上の20%だとしましょう。つまり、あなたが支払った10万円のうち2万円はそのお店の従業員の給料となります。言い換えれば、あなたは2万円分そのお店の従業員に給料を支払ったのと同じになります。

さて、その2万円をもらった店員さんが、ご自分でもどこかで飲食店を利用したとしましょう。そうすると同じように、2万円のうちの20%、4千円はさのお店の誰かの給料になります。その4千円がさらに、だれかの200円の給料に、その200円がまた誰かの40円の給料に…。という具合に、どこかで消費をすればするほど、それは誰かの給料となっていくわけです。

人件費だけではありません。食材の原価に関しても、その先には卸業者や生産者がいます。そのうちの10%程度は彼らのお給料になっています。また家賃を支払えば、不動産屋さんのお給料になります。食材等の配送業者を依頼すれば彼らのお給料も含まれます。細かいこといえば消耗品としての紙やペンなどを買う分も含まれますので、そうしたメーカーさんの社員の給料になります。

なんだかんだ10万円を飲食店で使うってことは、そこにいる従業員だけじゃなく、目に見えない見知らぬたくさんの誰かの給料を一部払っていることと同じなんです。ざっくり言えば、10万円をつかえば、その10万円はだいたい13万円の価値に変化するのです(飲食なのか物販なのかでこの数字は変わります。また全員が全額使う前提です)。1.3倍ですね。貯金では1円もその価値は増えません。

「誰かのために」とか「利他」とかわざわざ言う必要もない。自分の好きなモノを自分の欲望のために使えば、結果としてそれが誰かのためになる。

もらった人はまたそれぞれ使う。それが巡り巡って、実は自分達の給料に反映されていたりするわけです。

使えば戻ってくる。経済を回すとはそういうことなんです。

とかく、節約とか倹約が美徳で、浪費は悪とみなされることが多いですが、節約とか倹約とか貯金の方がよっぽど利己的で自己中心的な行動です。

消費する→誰かの給料になる→誰かかがまた消費する→見知らぬ誰かの給料になる。こうした循環が景気を作るのです。

もちろん、散在して借金で首がまわらなくなるという事態になるのは避けるべきですが、自分の範囲内で消費をすることこそが「景気を作る原動力」になるって意識したいと思います。

こういうことを、本当は小学生のうちから教えてあげるべきだと思うんですよね。親にとってはヤブヘビかもしれませんがw

子どもの頃、お年玉は貯金しなさいとか言われませんでしたか?素直にそれに従った人は、そのお年玉、結局使わずじまいになっていませんか?大抵は、知らぬ間に親がなんだかんだで内緒で使ってしまっています。それを責めちゃいけません。親は子のかわりにそのお金で経済を回し、誰かの給料を払ってくれていたんです(善意に解釈すればw)。

コロナ禍で、旅行にも行けないし、外食にも行けないので、使い道がないという人もいるでしょうが、景気は個人の消費が作るのだという意識をもっていただければと思います。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。