ギリシャは復活するのか?

ギリシャは安定した地中海性気候の土地柄で、歴史に富み、料理やワインも秀逸である。観光客は戻り基調で、2月は前年同月比24.9%増の34.2万人。資本規制も緩和され、現金引き出し上限額が月1800ユーロから2300ユーロに引き上げられたなど、正常化の方に向かっている。ギリシャは努力もしたし、国民はそれなりの犠牲を払ったが、2018年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比2.3%を達成した。5月24日に発表した1-4月の財政収支は黒字で、同期間のプライマリーバランスも22.9億ユーロの黒字。

2018年中に総額860億ユーロの支援プログラムが終了する。ギリシャに対する第三次支援プログラムのうち、第三次審査はエリニコ旧国際空港跡地の再開発促進という融資条件をクリアしたため、3月28日にESM(欧州安定メカニズム)から57億ユーロの融資が実施された。第四次審査は5月16日から19日にかけて行われ、合意に達した他、5月24日にはユーログループにて支援プログラム終了の際に行われる債務安定化の措置について議論。8月には支援から脱却できるとの情報もあり、格付け会社DBRSはギリシャの信用格付けをCCCからBまで格上げした上、見通しもポジティブと評価した。

しかし、ギリシャは未だ危機以降の回復過程にあるに過ぎない。ギリシャの17年末時点の公的債務は3174億ユーロ、GDP比で約179%。本当にESMやIMFなどからの融資なくして、独り立ちできるのかは疑問が残る。国内で抱える問題も依然大きい。ギリシャの銀行の不良債権比率は2017年9月現在46.6%と高い上、失業率も、低下したとはいえ、2018年2月現在20.8%。今回、償還期間を10年延長するなど返済の負担を軽減するも、債務カットはなし。元本まで踏み込む債務再編など融資サイドも一段のリスクを払わなければ、ギリシャ復活の狼煙はなかなかあがらないのではないか。

クレジット市場がもっとも苦手なのは、支援とそこからの脱却を繰り返すことである。一度支援を終了して、すぐにそれを再開しなければならなくなるくらいなら、金融支援の枠組みを軽々になくすべきではないのだが。。。。。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32097160S8A620C1MM0000/

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