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「働く場所=住む場所」ではなくなる、新しい選択肢

職域接種も始まり、周りでもワクチンを接種したという人が増えてきました。Plug and Playのシリコンバレー本社では、さらに接種が進んでおり、先週久しぶりにオフィスにみんなが集まってランチをした、と写真が送られてきました。マスクもしておらず、お互いにハグをしている様子を見ていると、2年前の写真なのかと思ってしまうくらいの”日常”でした。

そしてどうオフィスに人を戻していくか、という議論も進んでいます。ワクチン接種が進んできた頃、アメリカではオフィスに人を”戻す前提”での議論が多くされていました。しかし、従業員からの反発が多くハイブリッド、または在宅を中心とした働き方を望む声が多く出ています。

マイクロソフトが行った調査の結果も興味深いです。

マイクロソフトが各国の企業や働き手をランダムに抽出し実施した調査では、世界の従業員の67%が「コロナ危機後に対面の仕事を増やしたい」と回答した一方で、73%は「柔軟な在宅勤務制度の存続を望む」と答えた。感染への危機感や持病の有無など、コロナへの向き合い方は一人ひとり異なる。企業は柔軟な働き方を取り入れなければ優秀な人材を確保できない。調査では、ハイブリッド型など勤務体系の変化やオフィスの再設計を検討中と答えた企業は全体の66%に達した。

日本ではまだ各社の方針は出ていませんが、オフィス計画の見直しのニュースは出てきています。電通やリクルートのビル売却のニュースもありましたが、最近でもカルビーが本社オフィスを半減するエイベックスが出社率の低下でオフィス計画を見直す、などのニュースも。

出社が前提かどうか、またその頻度がどうかによって変わってくるのが住むところではないでしょうか。

実際にアメリカでも、出社がなくなったことによって引っ越しをしたという人も。東京からの転出者が増えているという記事も出ていましたね。私の周りでも引っ越しをした人も多いのですが、出社が必須になってくると住むところの選択肢は限られてしまうもの。そこで見直されるのが二拠点生活なのではと考えています。

コロナ前から二拠点生活については、珍しい議論ではありませんでした。実際に私も試したことがあります。でもその時は週5日の出社が前提。週末をどこか別の場所で過ごす、という意味での二拠点生活でした。しかし、コロナ禍で出社できなくなり住むところを再考するきっかけができ、選択肢は格段に増えました。実際に出社が必要ない(または時間をかければ出社ができる)場所に住んでみて、”住まい”について考えたという人も少なくないはずです。

二拠点生活を考えるとき、どちらの拠点でも住居をどう確保・維持するかが問題になりますが、ここ最近では二拠点だけではなく、他拠点生活のためのサービスが出ています。そうなると住むところの拠点は賃貸や購入、働くための拠点は宿泊のサービスを活用するなどの選択も可能になりました。

ちなみに、私は二拠点だけではなく、世界一周しながら働かせてもらった時期があります。本当は1年かけて行く予定が、1ヶ月になってしまったのですが、メキシコ・キューバ・イースター島・チリ・アメリカ・イギリスと回って働くことを試してみたのですが、実際はなかなか大変。時差、そして通信環境によって仕事は大きく左右されました。日本で多拠点で働く場合は、時差は気にしなくていいので通信環境くらいでしょうか。また、当時(2017年)はオンライン会議も可能ではあるものの、一般的な選択肢ではなかったのですが、もはや当たり前の時代に。自由に海外へ行き来できるようになったら、今であればまた違う働き方になるのかもしれませんね。

世界一周しながら働く、は少し極端ですが”柔軟な働き方”の定義も一人一人異なるもの。先行するアメリカでは記事にもあった通り、企業側と従業員側の思惑がぶつかっていますが、企業がどう個々人のニーズに向き合っていくのか、またどのような環境を整備していくのか、これから全ての企業が求められていきます。同時に、個々人もどうしたいのかを問われていくでしょう。

日本はもう少し先の議論になりそうですが、先行するグローバル企業の動向に注目していきたいと思います。


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