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こんな電子メールや図表を目にする場面なんて本当に日常生活にあるんですかね ~ 一言切り抜きfrom日経#242


日経朝刊2022年1月4日、
受験考」のコーナーから、受験生の気になる一言を切り抜き。

電子版だとこの記事。


真っ当な意見。

僕は、面白い教育事業を展開するために
10数年間、これは!と思う、面白い伝説の授業を集めてきて

これらは、設問や学ぶ内容自体が特別面白いものなので、
共通テストで出るようなものとそもそも違うのだが、

普通に学校で理解したり覚えるべきこと、
つまりテストに出るようなことも、
問題の文章自体や具体性自体で、
かなり変わってくるのではないか。

先生たちの工夫、クリエーティビティーに期待したいところ。
すでにそういう先生はいるのだから。

例えば。
東大法学部で労働法を教える、水町勇一郎先生の設問は、
とても面白い。

例えば、こういうものがある。


「大学 3年生の河上君は週に 3日それぞれ 4時間ずつ居酒屋でアルバイトをしている。河上君は 7月の下旬,居酒屋の店主に「テニスサークルの夏合宿があるので,明日から 3日間だけアルバイトを休ませていただけませんか」と頼んだが,店主からは「この時期は店の書き入れ時だし,代わりの人に来てもらうのも難しいから,ダメダメ」といわれた。河上君はどうしようか悩んだが,やはり夏合宿の魅力には勝てず,店の留守番電話に「やっぱり 3日間だけ休ませてください」との伝言を残して,合宿のある遠刈田へ向かった。 ……楽しい合宿が終わった後,河上君はいつも通り居酒屋に出勤した。すると店主は「お前が休んだせいで店はてんてこ舞いだったんだぞ。勝手に休むような奴はもう来なくていい。 7月分の給料も支払わないからな」と言われた。こんなとき河上君はどうすることもできないのだろうか?」

—『労働法(第7版)』水町勇一郎著

法律の勉強をするつもりが毛頭なくても、
つい読んでしまい、つい考えてしまう。
設問の文章次第で生徒の頭の動きは全く違う事になる例だ。

おそらく、他にも面白いのないの?と思ってしまっただろう。
もう1つ引用させていただくと

事例 2
「伊達さんは,製紙業を営む富沢製紙株式会社のために,自己の所有するトラックを持ち込んで同社製品の運送を行う傭車運転手である。伊達さんは,専ら富沢製紙の製品の運送業務に携わっており,同社からの仕事の依頼や指示を拒否する自由は事実上ない。業務の遂行にあたり,同社は,運送物品,運送先および納入時刻については指示を行っているが,運転経路,出発時刻,運転方法の指示は行っていない。伊達さんの毎日の業務時間は事実上同社の指示によって決定されているが,運送業務以外の時間は伊達さんの自由に委ねられており,出退勤時間の拘束はない。伊達さんへの報酬は,トラックの積載可能量と運送距離によって定まる運賃表によって出来高で支払われ,トラックの購入代金,ガソリン代,修理費,高速道路料金等はすべて伊達さんが負担している。伊達さんに支払われる報酬から所得税の源泉徴収や社会保険料等の控除はなされておらず,伊達さんはこの報酬を事業所得として確定申告している。伊達さんは,労働法上の保護を受けることができるか?」

—『労働法(第7版)』水町勇一郎著

気づいただろうか?
登場人物は伊達さん。
働く会社は富沢製紙。

サンドイッチマンである。

水町先生曰く「夜中に、司法試験の勉強をしている生徒に、少しでもクスッとしてもらえたら」とのこと。

ステキすぎる気遣い。

問題自体が、現実に沿った、興味をそそるものだけでなく、
短くて深い問題もある。

労働法はまた,人間や社会のあり方そのものにかかわる根源的な側面(「根源性」)もあわせもっている。次の問いについて考えてみよう。

探究 1

「労働」は「喜び」か「苦しみ」か?」

—『労働法(第7版)』水町勇一郎著

こちらのkindle版を僕は読んで、
そちらから引用させていただきた。


なぜこの労働法の本を読んだのかというと、
僕が佐賀県の皆さんとやっている、
鍋島藩の藩校を21世紀にアップデートした「弘道館2」の
講師に水町さんに出てもらったことがあるからである。

https://www.kodokan2.jp/

大隈重信をはじめとした佐賀の七賢人を輩出した伝説の学校。
ここのコンセプトやカリキュラムが素晴らしいので、
そこは引き継ぎ、講座を21世紀に必要な内容に変えて
(今、砲術とかやらないですからね、、)
ネット配信も含めて行っている。

ちなみに、ロゴもよく見て欲しい。
飛んだり跳ねたりしているのはシャチではない。
佐賀らしく、ムツゴロウである。
これはデザイナーの唐津出身で福岡で活躍されている
先崎さん(https://tetusin.com/)のこだわり。

大人側が遊び心を持ってやらないと、
普通の地方の講演会になってしまうから、
ちゃんとやってる側が楽しむことをみんなで心掛けている。

今まで25回ほどやってきたのだが、
水町さんの授業はトップ3に入る。

タイトルは「働くとは?学 -仕事と趣味、どっちを生きがいにする?-」

その講義はこちら↓で見ることができるのだが、
特に見て欲しいのが、
ギリシア時代からの2000年強の人類の労働観を
15分くらいでバーっと教えてもらえるところ。

その上で、みんなはどう働きたい?と受講者たちとディスカッションする。

どう働きたいか?という質問はよくされるだろうが、
そもそも人類がどういう風に働くことに対する価値観を持ってきたか?
その情報なしに今まで考えてきたのだから、考えが進むわけがない。

全員必見の動画だと思う。

もし興味を持ったら、全部ver. ↓を見ていただけたら。
2時間半ありますが、その価値はあります。

https://www.youtube.com/watch?v=dD5P3rUovH4

文字としてのレポートはここで↓読めます。
(サムネイル画像は違う回のが出てますが、クリックしたら、水町さんの回にちゃんとなってます)


面白い設問という小さなところからでも、
教育の革命は、きっと起こるはず。

先生方。頼みますよ!

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