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旋盤を始めた。まずは木工、数年したら金属もやってみる。

30年以上前、理工学部の材料工学科で学生をやっていた。私が入学する時に、金属工学科から材料工学科へ名前が変わったこともあり、金属工学科のカリキュラムも多く残っていたのだと思う。実験の単位もあり、衝撃試験や切削加工、鋳造など、様々なものづくりを体験したものだ。その中で、一番印象に残ったのは、旋盤だ。回転する鉄の塊に、ダイヤルを回し、刃物を押し付けて、火花を散らしながら、ものすごい音と共に削っていく。町工場のような大学の研究所で、なんの変哲もない小さな部品を何個も何個も作ったのを覚えている。納得のいく部品ができると、職人になれた気がしてとても嬉しかった。

その後、経営コンサルタントに転身した私が、改めて旋盤に出会ったのは9年くらい前だ。由紀精密という町工場が、ドイツの大型産業見本市「ハノーファーメッセ」にデスクトップ型微細加工機「VISAI」を出展していたのだ。大学時代に触った旋盤とは全く異なり、圧倒的に格好いい。正直、目を奪われる美しさがあった。さらに、ワークと刃物さえセットされていれば、iPadの遠隔操作での加工ができる。とても未来を感じた。そして、これがきっかけで、由紀精密の大坪社長とも仲良くなり、日本のものづくりに触れていきたい、応援していきたいという今のスタンスが固まったと感じている。

出会いとは不思議なもので、数年経った時、丹波篠山で木こりをしているMoccaの辻さんと繋がった。脱サラして、改修した古民家で、木と触れ合い、木の豊かさを学ぶコミュニティを作られていた。森から木を切り出し、石で基礎を作り、釘を使わずに小さな家を建てる。大工ワークショップを始めたのだ。太田棟梁という大工さんの指導の下、鉋やノミ、ノコギリやチェンソー、様々な道具を使った。家づくりの難しさと楽しさを満喫することができた。そしてついに、敷地内の木工場で再び旋盤と出会ったのだ。びっくりしたのは、刃物を手で押さえていること。金属の旋盤の常識とは明らかに異なった。瞬時にやりたいと感じたのを覚えている。

その後、辻さんは、月一回の大工ワークショップに加えて、旋盤ワークショップを作ってくれた。何回か参加しているうちに、ふつふつとある気持ちが湧いてきた。My旋盤が欲しいだ。驚いたことに価格は、刃物を含まないが、10万円と少し。辻さんはすぐに用意してくれた。しかもMoccaに置かせてくれるという。そしてしばらくの間、食器作りに集中した。既に10くらいの作品⁈を作ったと思う。最初に、何を作りたいかはおおよそ決めておくのだが、何故か作りながらどんどん変わっていく。思い通りに削れないのと、自由に作ってみたいという思いが錯綜しているからかもしれない。

不思議な作品たち

最近は、残念ながら旋盤ワークショップに参加することができていない。暑さで身体がまいっていたのと、どうも本業の仕事が捗らないことが多かったからだ。来年はしっかりと旋盤の技術を上げる年にしたいと思う。しっかりと原理原則を理解した上で、刃物を運んでみたいと思っている。何年かで色々なものを木材で自在に作れるようになって、次は金属旋盤に挑戦だ。まだまだ先かもしれないが、ゆくゆくは廃番になった旧車のパーツなども作れればと考えている。そのためのガレージハウスは夢の一つだ。それに備えて、ものづくりの職人に弟子入りする日を楽しみにしている。あと4-5年したら本気で挑戦してみたいと考えている。

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