庇えば庇うほど弱点として露呈する為替

為替条項導入の要求について、その冷静な読み方をまとめてみました。NAFTA、韓国と続くトランプ政権としての基本動作でしょうが、日米欧三極で最も正常化が遅れているのが日銀です。それゆえに通貨安批判がそのまま金融政策批判にリンクしやすいという側面は要注意です。

元より円の実質実効為替相場(REER)は長期平均対比2割安いというのが米財務省の一貫した姿勢ですから、ムニューシン財務長官が円安に不満を漏らすのは自然でもあります。

もっともトランプ政権の狙いは為替条項の導入そのものよりも、これをちらつかせることによって通商上、実利的な何かを獲得することにあるのでしょう。歴史的に貿易摩擦を繰り返してきた経緯もあって、日本から米国に拠出できる通商カードはもはや多くないというのがもっぱらの下馬評です。具体的には米国産農産品や防衛装備品の輸入拡大、日本車輸出の規制など、要求したいことは沢山あると思われますが、これらを通す上で一番効果てき面なカードが「為替」であることは米国もわかっているのでしょう。

周知の通り、日本は当初から全力で「貿易」と「為替」の問題を切り離すことに躍起になってきたし、筆者を含む市場参加者もそれこそが最良の戦術だと疑いませんでした。しかし庇えば庇うほどそれが弱点として露呈しているという現実もあります。

ご笑覧下さい。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57972

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