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コミュニティナースのビジネスモデルから学ぶ社会変革の可能性

コミュニティナースが注目されている。多角経営型、行政支援型、企業スポンサー型など、さまざまなビジネス形態で、「共助関係のハブ」として多くの地域において、なくてはならない存在になっている。

おむすびスタンドのコミュニティナース

次の記事では、おにぎりブームの紹介に加え、「そのおにぎりを、地域住民の健康の見守りにつなげる看護師がいる」ことを伝えている。「おかえり」「今日はどう?」と、おむすびスタンドを訪れる客に声をかけるという小鹿千秋さんは元看護師だ。看護師時代に「病院を出ると独りになってしまう。帰りたくない」という高齢者の声を聞いたことが、おむすびスタンドでコミュニティナース活動を始めるきっかけになった。

コミュニティナースカンパニー

コミュニティナースという「街の中での人と人とのつながり直し」をビジネスモデルとして成立させようと奮闘しているのが、コミュニティナースカンパニーである。同社はコミュニティナースの育成を行うと同時に、各地域にコミュニティナース拠点を立ち上げ、そして機能させていくためのコンサルティング事業を行っている。

コミュニティナースカンパニーの面白いところは、ビジネスモデルありきで作られたものではないことだ。どちらかというと、「こういう社会がいい」という理想像を自力で実現し、その形態を「ビジネスの力を借りて広げる」ことを選んだというイメージである。ここに、大きな可能性を感じる。

コミュニティナーシング:コミュニティナースだけではない市民の共助関係

コミュニティナースカンパニーの矢田さんは、大事なのは「ナーシング」であるという。コミュニティの中心に場を作り、そこにナースがいる。コミュニティナースがみんなの声を聞き、つながりを紹介するなどの社会的処方を施す。このような活動がコアにありつつ、コミュニティナーシングの概念は、コミュニティ内のネットワークをもっと活用したものになっている。市民一人ひとりが、「誰かをナーシングする存在」になっていくのだ。

つまりコミュニティナースカンパニーは、地域にコミュニティナーシングの関係性を広げていくことをビジネスにしているのだ。

社会変革型ビジネスの可能性

弊社も含め、社会変革型のビジネスに取り組む企業は、つねに社会インパクトと経済インパクトの両立に苦慮している。どうしても、経済インパクトが出せる(つまり自社が潰れない)範囲で、できるだけ多くの社会インパクトを出していこうとなってしまい、理想像にまっすぐ向かっていけないことが多い。

コミュニティナースカンパニーから学べることは、「ビジネスモデルは結果」に過ぎないということだ。ビジネスとして回ることよりも、共感して動き出す人が増えることが先、ということを忘れてはならない。そこに共感した人たちが自ら立ち上がり、多角経営型、行政支援型、企業スポンサー型のプレイヤーとして社会変革に加わっていくことが、何より重要なのである。このようなエコシステムの広がりが、そこに価値交換の量を増やしていき、結果としてのビジネスモデルへとつながっていく

「ビジネスモデルが成り立つからやる」のではなく、「社会に必要だからやる」を突き詰めていくことで、社会を変えるムーブメントが生まれる。そう信じて。

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