見出し画像

人生100年時代に60歳定年はあまりに早い!~WAmazingが一緒に働きたい60代社員とは~

WAmazingは、2017年2月にサービスを開始したインバウンド旅行者向け観光プラットフォームサービスです。具体的には、日本国内22か所の国際空港で無料のSIMカードを配布しながらインバウンド個人旅行者にWAmazingアプリをインストールしてもらい、またはWEBサービスを知ってもらい、そこから日本国内の観光情報提供、宿予約、アクティビティ予約、交通切符販売、免税ECサービスなど、インバウンド旅行者が欲しいサービスをワンストップで提供しちゃおう!というサービスです。

そう…。コロナ禍で一番やばいビジネスです。(笑)
いや、笑いごとじゃないんです…。今までインバウンドプラットフォーム事業の1本脚打法でやってきたWAmazingは、2020年1月と2020年4月の売上を比較して98%ダウンとなってしまったのです…。それはそうです。2020年3月からはコロナ禍で、外国人はほぼ入国できなくなったのです。4月頭からは緊急事態宣言が出て街はお店も一気に休業。社会が停まり、こんなところに旅行者が遊びに来るわけもありません。
コロナで突然に売上がゼロになっても一部の広告宣伝費以外のコストは減りません。広義の人件費やオフィス代などは、ほぼ固定費として、かかりつづけるので、財務体質が脆弱なベンチャー経営者の自分の頭に浮かんだのは「死」の1文字です。命をつなぐには、コストを減らしてキャッシュインを増やすしかありません。
ここからは、コストダウン、新規事業で売上をつくる、資金調達する、の3つを全力で、まさに土日もGWもなく推進することになります。(本当に忙しい3月~10月でした)
しかし、需要回復期を考えると、なんとしてもチームを維持したい(リストラをしたくない)という気持ちがありました。弊社の場合、100名程度の従業員のため、まだ雇用調整助成金の活用での社員の休業・出向も組み合わせながら、従業員の雇用をなんとか維持することができました。
しかし、社員数が数千、数万にのぼるような大手旅行会社は相次いでリストラプランを発表しています。



WAmazingは、(ベンチャーとしては人数は多めですが)100名程度の小所帯なことも奏功しオフィスを前面退去しフルリモートワークに移行する等、コストダウンも実現し、新規事業も軌道にのって創業以来の過去最大売上を稼ぎ出し、資金調達も、本当にぎりぎりでしたが2020年11月に完了できたという、みなさんの応援のおかげのミラクルを達成できました。


そこで、2020年3月にいったんは全面ストップした採用活動も、2020年11月から再開したのです。
コロナ禍の真っ最中に、リストラを発表する旅行会社は多々あれど、採用再開する旅行会社は希少なため、かなり良い応募者の方々が来るようになりました。コロナ禍でプラスになったこともあるのですが、これが1つです。採用環境が、とても良い状態です。

ここからが本論です。(前置き長くてごめんなさい)

そんな採用環境で、某大手旅行会社から転職したいと応募してくださった61歳の方をWAmazingは採用を決定しました。(入社は、もう少し先ですが)
まさに、今回のテーマ「一緒に働きたい60代とは」です。
WAmazingが採用決定した方の中では過去最高年齢です。
しかもWAmazingの人事規約の中では定年が60歳でした。
「でもまぁ、人事ルールを変えればいいよね」と。規則のほうを変えればいい、そんな風に思わせる魅力がその方にはありました。

最近、採用面談でお話した、その方を思い浮かべながら、私が考える「一緒に働きたい60代とは」を書ければと思います。

(1)豊かな経験、豊富なキャリア
これは、言うまでもないですね。シニアな方は、それだけ社会人経験・キャリア経験が長く豊富なので、やはり期待したいところです。その方は、新卒から同じ会社で勤めあげてきた方なのですが、同じ会社で漫然と年数を重ねてきたというわけではなく、様々な環境、様々な経験をしていらっしゃいました。そこでの経験がWAmazingで活かしていただけると思ったのが採用の決め手の1つです。
(2)謙虚さ、素直さ
面談で、私から「何かご質問などありますか」とお伺いすると、その方は「一番気になっているのはお恥ずかしながら61歳という年齢なのですが…」とおっしゃりました。
私からは、「私の父は72歳ですが現役で働いていますし、人生100年時代、60歳代はお若いです。働ける方は働いたほうがいいというのが私の持論でもあります」とお話しました。この発言以外にも、節々に非常に謙虚で、素直なお人柄がしのばれました。現職ではお立場、肩書もある方なのですが、全然、偉そうにしない、不遜な態度もゼロ。こういうのは演技で隠せるものではないので「えらそうなおじさん」は、すぐわかってしまうのですが、そういう部分はゼロでした。特に私なんて、娘といっても不思議じゃない年下の、しかも女です。いや、私は女だから社長をやっちゃいけないなんて思ってないですが(実際やってますしね)特に上の世代の男性ビジネスマンたちは、仕事で対等な立場あるいは上の立場の方で女性という存在に対峙したことがないので、自然とフラットなお付き合いができない方も多いのです。
(3)包容力・ミドルマネジメント層としての期待
経験豊富で知見も多いのに謙虚で素直な方には、自然と包容力を感じます。人生は山あり谷ありですから、それを乗り越えてきた方は、後進に対して優しくできる、適切なアドバイスもできる包容力もお持ちです。
スタートアップ企業は、先頭を走る経営陣と年若い人も多いメンバー陣の間をつなぐミドルマネジメント人材の不足に、頭を悩ますことが非常に多いので、マネジメント経験豊富で包容力のある人材の参画はとても心強いです。
(4)柔軟性
素直さ、にも通ずるところがあるのですが、柔軟性は非常に大事です。
一般的にスタートアップが年齢が上の社員を採用するのを躊躇うのは、この「柔軟性」の問題が大きいと思います。スタートアップは環境変化が大きいので、社員が担う役割もどんどん変わっていくことがあります。そんな時に「いや、それは俺の専門ではない。」とか「このやり方で、今までやってきたんだから、やり方を変えたくない」とか意固地になられると本当に困っちゃうんですよね。そして、一般的には年を取ればとるほど、人は変化に対して柔軟に対応できなくなります。ただ、もちろん例外はあるわけですから、逆にいえば、柔軟性を持った方であれば、何歳であっても問題ない、と言えるかと思います。
(5)情報感度の高さ、フットワークの軽さ
WAmazingは採用を再開したといっても、インバウンド需要回復の目途が立っていない今は会社のコストは緊縮財政で最低限の経費に絞って、経営しています。採用も自社HPと、Wantedlyのみ。あとは私や社員が自らのSNSで「仲間募集!拡散希望!」と拡散・シェアしています。
この方は、それでWAmazingに直接応募してきたのです。61歳の方が、この採用情報を見つけるだけでも相当、ITリテラシーが高かったり、SNSが得意だったり、良いソーシャルグラフを持っていたり、情報感度が高くないと、目に留まらないと思います。そして、現職(大手企業)にいようと思えばいられる立場にも関わらず、どこの馬の骨かもよくわからない創業4年程度のスタートアップに飛び込もう、年収が下がっても構わないというフットワークの軽さをお持ちです。
(6)誠実さ
面談の最初に「すみません。もともと、御社の●●さんと面談したときは●月ぐらいには入社できると申し上げましたが、1か月遅れそうです」とおっしゃいました。理由は現職から、△月まではいて欲しいと言われたからだそうです。続けて「長らくお世話になった会社から言われたので、しっかり責任を果たして辞めようと思います」とおっしゃいました。
普通のことじゃないかと思う人も多いかもしれません。しかし、意外と難しいものなのです。
WAmazingはコロナ禍で希望退職者が数名でてしまいました。中には、まだWAmazingの雇用期間中に、転職先と業務委託契約を結んで仕事を始めるような方もいました。「立つ鳥後を濁さず」はビジネスパーソンの基本ですが、それが出来ない方も多々いる中で誠実な印象を受けました。
(7)健康問題のリスクヘッジができている
これは今回の応募者のことではなく、一般論です。やはり年齢を重ねれば、健康に問題を抱える方は増えるのが現実だと思います。病気そのものが悪いというのではなく、過剰に肥満体ではない、など、健康にも気遣っている様子が見て取れると、60代の方も安心して採用できると思います。


以上、その方(61歳)との面談を経て感じたことを改めて書いてみました。そういう要件を満たしていれば、年齢は究極、関係ない、むしろ年齢を重ねていることでのプラス面は多いのではないでしょうか。

#日経COMEMO #一緒に働きたい60代社員とは


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?