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変化のある日常を作ろう!


なんとなく検索していたら10年以上も前の記事を見つけた。二拠点居住の記事だ。記事の中には、国土交通省が実施した二地域居住に関する2008年の調査があった。なんと、この時点で二拠点居住を「今後したい」「10年以内に実行する意欲がある」人が21.4%もいた。既に老若男女問わず、多くの人が関心をもっていたようだ。記事には、二地域居住を賢く実現するやり方も書いてあった。実家を上手く絡めてコストを抑えつつ、人生の豊かさ、生きがいの向上につなげ、創造性を高めることもできたと言う内容だ。既に10年も前にこんな構想があり、それを実践している人がいたのは驚きだ。人間の「変化のある日常への欲求」は本質的なものだと改めて感じる。

しかしながらこの10年、二拠点居住に関しては、あまり大きな変化を感じてこなかった。やりたいと思ってはいたものの、家族全員の賛同を得ることの難しさや、会社への出社、学校への通学を前提とした生活様式が二拠点居住を諦めさせてきたのだろう。コロナ禍を機に、リモートワークやリモート授業を試したり、前提としたりする会社・学校が増えてくる中で、ようやく多くの人にとっての現実的な選択肢として活用できるようになってきたのだろう。

そんな中、私自身も昨年より二拠点居住を始めている。場所は東京と京都だ。どちらも都会の生活だ。ただ、これに月1回の丹波篠山、里山への訪問が加わる。篠山に行き始めてからもう1年半以上になる。篠山では里の人達が心地よく迎えてくれ、声を掛けてもらえるようになってきた。そろそろ三拠点居住⁈と言いたくもなるが、住んでいるわけではない。ただ、既に心の中でそれなりの割合を占める存在になっている。時間ではなく体験の濃さで印象が変わるのだと思う。

さて、それぞれの拠点だが、東京はこれまでの仲間とリアルで会うための場所だ。決めた物事を一気に効率よく進めるための場所でもある。京都は新たな出会い、できれば偶然の出会いを大事にしたいと考えている場所だ。自分の持っている常識とは異なる常識を持つ人と、どんな形で出会うことができるか、とても楽しみだ。京都は創造性を育むのにも適していると思う。一方、篠山は自然や暮らしを満喫する場所だ。人との触れ合い、森や木々との触れ合いなど、都会暮らしの中ではどうしても忘れがちになってしまっている大事なことを思い出させてくれる。人や社会、そして地球への優しさを体感させてくれる。 

まだ1年経っていないぐらいなので、悪い面が見えていないだけかもしれないが、二拠点生活についての現時点での総括と言われれば、「かなり良い」だ。仕事に追われる日常や、常に効率性と創造性を同時に高めなければならない日常とは明らかに違う。目に映る風景が変わると気持ちは変わり、青空と山を見ると、気持ちが晴れやかになる。何かに追われる生活から、少しばかりのゆとりが生まれる。効率と創造の切り替えができるようになる。すると、これまでの「当たり前」にも変化が生まれる。東京で暮らしていた時に、何も感じなかった無数の高層ビルの夜景も、とても綺麗で芸術的な人工物と感じられるようになる。心持ちで感性が大きく変わるから驚きだ。

場所を変えて、気分を変えてみる。いつかは行ってみたかった場所でとにかく仕事をしてみる。そんな体験を是非して欲しいと思う。リモートワークであればどこで仕事をしていても問題ない。幸いにも「住まい」に関わる色々なサブスクの取り組みも増えてきた。例えば、「2拠点居住」のサブスクリプションサービスを提供するアドレスと、JR西日本はタッグを組み、尾道にコワーキングスペースのある宿泊施設を開設した。「住まいサブスク」と銘打ち、アドレスの会員に、大阪と地方を行き来する格安の切符も提供する。価格は通常の半額だ。移動と宿泊がタッグを組むことでハードルは大きく下がる。週1回でも月1回でも良いと思う。まずは「お試し二拠点居住」を始めてみたらどうだろうか。変化のある日常は、自らの新たな可能性や潜在力を引き出してくれると思う。


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