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顔採用で需要が高まるキャリアコンサルタントの役割

 就職活動で第一印象が重要なのは昔も今も変わらないが、現代ではSNSで個人が自己アピールをしやすくなったことで、就活のスタイルにも変化が生じてきている。伊勢丹が2020年3月の新卒予定者を対象とした募集要項では、第一次の選考過程として「顔採用」を導入することを発表している。

応募者は、自身のメイクや見せ方を通して「自分らしさ」を表現した写真をインスタグラムに、ハッシュタグ(#KISSME顔採用)を記載した上で投稿する。その写真によって第一次の合否連絡があり、通知を受けた者が第二次以降の選考に進める流れだ。これは、メイクのテクニックや容姿を判断するものではなく、男性でも女性でも、すっぴんでもフルメイクでも構わない。

一方、海外ではビデオ動画による採用面接(ビデオインタビュー)を導入する企業が増えている。ビデオ面接のやり方には、会社のホームページに自宅のPCやスマートフォンからアクセスして、予め用意されている質問項目に回答する様子をビデオ録画する方式と、リアルタイムで担当者とビデオ面接する映像が録画される方式がある。

ビデオ面接は、遠方からの求職者でもエントリーしやすく、面接コストを抑えられるメリットがあることに加えて、リアルな表情が現れるため、従来の履歴書による審査よりも人柄や性格を掴みやすい。たとえば「Spark Hire」は、企業にビデオ面接の機能を提供するプラットフォームで、IKEAやVolkswagenのような有名企業もクラアントになっている。

中高年の転職やヘッドハンティングにも、ビデオ面接は導入されはじめているため、映像を通して好印象を与えられる話し方、表情やボディランゲージなどのテクニックを指導する「ビデオインタビューコーチ」という新職業として浮上してきている。

米国では、履歴書の書き方や年俸交渉の方法を指導するキャリアコンサルタントの仕事が存在していたが、ビデオ面接での視覚印象が重視されるようになってきたことで、SkypeやZOOMで模擬ビデオ面接を行いながら、プレゼンテーションとコミュニケーションのスキルを高めるところまでをサポートするようになっている。

実績の高いキャリアコンサルタントは90分あたりの指導料が200~300ドルするが、それで年俸の高い会社に就職できれば、費用対効果は高いという価値観は、エリート人材の中から広がっている。

やがて顔採用のトレンドは、アルバイト人材の採用から、大卒新卒者、ヘッドハンティングの対象となる管理職や経営者層にまで及び、それぞれに準備や対策が求められるようになっていきそうだ。

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