欧州議会選挙が欧州リスクのきっかけとなるか?

本日から26日まで欧州議会選挙である。欧州議会は関税交渉やEU政策の決定に重要な役割を果たす他、重職の拒否権を持つなど権限を有する。しかし、今回は、そうした本来の意義ということより、“欧州全体に蔓延するEU離脱への憧れ”がどの程度本格的なものなのかを問う選挙である、という点で重要と言える。当然この選挙結果は、欧州各国経済への影響をもたらす。

現時点で、欧州議会の1/3をいわゆるポピュリスト政治家が占める可能性が大きい。これまでの保守政権(EPPとS&D)は過半数を達せられず、欧州議会そのものの着地が微妙、であるが、ただ一つ確かなのは、その場合、ポピュリストの流れが否応なしに高まるということだ。

ポピュリストの流れはそれぞれの国政にも影響を投げかける。中でもイタリアは、サルビニ氏率いる「同盟」の勢力が増す場合、同氏は繰り上げ総選挙を暗示しており、選挙の圧力が高まってくる。同盟はそうでなくとも有権者間の支持率があがっている最中にあり、そうなれば財政赤字の扱いについて反EU姿勢を強め、有権者の支持を更に集めようとすること必至である。イタリアの財政赤字が大きくなれば、イタリア国債が売られるなど金融市場にも影響が出るはず。欧州議会選挙をきっかけに、欧州売りとなる可能性は見ておく必要があると言えよう。


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