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行き過ぎた「コンビニエンス」とコモディティの憂鬱

こんばんは、uni'que若宮です。


24時間働けますか?

「24時間営業」が売りのコンビニで、営業時間見直しの議論が起こっています。

コンビニは、いつでも空いているので消費者にとってはとても便利である一方で、ブラックな労働環境や深夜帯は人手不足などの問題やバイトテロみたいな話もあり、経営はかなり大変だと思います。

流通業界の件もそうですが、個人的には消費者があまりに「便利さ(コンビニエンス)」に慣れてしまい、その水準を当然としてアンカリングしてしまうのは考えものだな、と思っています。

便利さの追求は経済が成長している時にはその分儲かるので良いですが、縮小傾向にある時には、デフレスパイラルのようにその歪みを企業側でチキンレースのように吸収し続けるか、立場の弱い下請けがそのしわ寄せを飲み込む、ということが起こりがちです。


衝撃を受けたのですが、現場ではこのようなことにすらなっているらしいのです。

この閉塞感、本当にすさまじいです。

果たしてここまでしても、コンビニは24時間である必要があるのでしょうか?


「ドミナント戦略」の限界

上記のケースでは、「ドミナント戦略」によって同一エリアに多数出店された結果「食い合い」が起こってしまうことが閉店の直接の引き金となっています。エリアの消費ニーズは、(人口が増え続けない限り)一定を超えては増えませんから、そこに店舗が増えれば当然一店舗あたりの売り上げは下がることになります。

しかし、コンビニチェーン本体からすれば、それでも店舗を出したほうが全体の売り上げは伸びるのです。また、近隣に店舗をまとめ、商品を配れれば配送は効率化できます。こうしてドミナント戦略は非常に合理的に、もう少し正確にいえば全体主義的な合理性によって推し進められてきたきらいがあります。

しかし、いかなドミナント戦略といえど、先ほど述べたように消費が一定まで取り尽くされればそこからは分割損のほうが増え始めます。ましてやコンビニチェーンは一社ではありませんので、合理的に各社が同じエリアを狙えば「食い合い」は更に熾烈な消耗戦にしかなりません。


一方で、こんなコンビニの例もあります。

だれも出したがらないところに出店してみたら独占市場で黒字化ができた、という事例です。

この2つの事例から言えることは、売上の額を伸ばし続ける計画はもはや限界を迎え、破綻しつつある、ということだと思います。

それよりはちょうどいいサイズで無理のない経営をすること、サステナビリティの経営のほうがより重要ではないでしょうか。


「コモディティ・プラットフォーム」の限界

コンビニはフランチャイズ経営です。「フランチャイズ」とはいわゆるプラットフォーム型のビジネスモデルであり、Amazonより楽天に近いモデルです。そしてプラットフォーム型の場合、トップダウンの均一な世界は、徐々に閉塞に向かってしまうのです。

インターネットのプラットフォームを想像するとわかりますが、供給が一定満足された後においては、「ちがい」の多様性がなければプラットフォームの価値は増えていきません。同じコンテンツばかりのnoteや規格化されたAirbnbが魅力的でしょうか


ご存知のとおり、フランチャイズにおいてはかなり厳格なマニュアルが存在します。画一的なクオリティを担保する代わりに「看板」を使えるわけです。しかし、本来、直営店舗の出店でない場合には、このような画一モデルでの出店はエリアあたり1店舗が限界なはずです。なぜなら、差別化や競争の工夫をする余地を店舗が持たないため、「棲み分け」ができず、「食い合い」にしかならないからです。


ダイナミックプライシングや独自商品で「ちがい」をつくる

「ドミナント戦略」のところで述べたように、僕は本来的には、成長戦略だけを是とする社会はひずみが出始め、「拡大より適切なサイズへ」の戦略転換の必要性がこれから色々なところで顕在化してくると思っています。コンビニもこれ以上店舗を増やすことは考え直すべきでしょう。

そしてもう一つ、2点目に述べたように店舗ごとの「ちがい」を許容するプラットフォームへの転換も必要ではないでしょうか。マニュアルやPBブランドなど一定のサービス品質を担保した上で、独自の商品を展開できるようにする、もしくは商品は一緒でもダイナミックプライシングで「ちがい」をつくれるようにする。

同じ商品でも深夜の価格を上げることができるようにすれば、「コンビニ」の利便性は保ちつつ、深夜の高い人件費を支払うことも出来るでしょう。あるいはそれでも合わないと思う店舗や日中の売上に集中したい店舗は繁忙時間帯の価格を上げて深夜は休みにしてもいいでしょう。


何度か述べていますが、「工場」型のパラダイムはすでに終わり始めています。これからの時代はコンビニであっても「ちがい」が重要になってのではないでしょうか?

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