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社内起業家を生むには、社内エグゼクティブの改革が必要

こんにちは、リデザインワーク代表&ベーシックCOOの林です!
日経COMEMOさんから下記のようなテーマで募集がありました。

僕自身、リクルートの経営企画時代に「New-Ring」という新規事業開発コンテストを過去に見ていたことと、現在、大手企業の新規事業開発プロセスのアドバイザーをしていて、思うところがあるので、書かせていただきたいと思います。

今回書かせていただきたいのは、多くの会社さんで、新規事業開発や、社内起業の促進制度を検討されているのですが、そもそも社内起業を促進したり、新規事業を評価・支援していく会社のエグゼクティブ側の学びがセットで大事だという点を共有させていただきます。

企業のエグゼクティブには、既存事業を中心にしっかり成長させてきた方々が多く、素晴らしい経営者の方が多いと実感する一方で、新規事業の立ち上げ、特に最近のテクノロジーを活用した事業立ち上げについてのご経験はない方が多いのが実態だと思います。

社内起業家の方々から、そのことが原因で苦しまれている声をよく伺います。

「事業計画をがっちり策定して、逆算で事業を立ち上げろと言われてます・・」
「毎回の予算取りで社内手続きが煩雑で困っています・・」
「追加投資の際に聞かれるポイントが、ROIやIRRで、、まだ収益化
 フェーズではなく、PMFフェーズなのに・・・」
「高い成長率なのに、売上の小ささから雑に扱われ、投資や人の異動の
 優先順位が低いと感じています・・」

僕の経験から、エグゼクティブの皆さんに是非学んでいただきたい点は下記の3つです。

1.事業計画を捨て、事業をドライブするKSFにフォーカスすること
2.予算枠を決めて、起業家のアジャイルな意思決定をサポートすること
3.PL経営ではなく、事業価値経営で投資優先順位を考えること

その他にも、起業テーマや規模などをしっかり定義することなど、たくさんあるのですが、若宮さんが書かれた下記の記事に良くまとまっているので、是非読んでみてください!

1.事業計画を捨て、事業をドライブするKSFにフォーカスすること

既存事業のように、これまでの成長がある中で、事業のトップラインを形作るKPIが整理されている場合、全体で年率10%で3か年成長を描く、その場合、各KPI設計は・・・という事業経営は非常に合理的ですし、計画が非常に重要だと思います。

一方で、新規事業の場合は、そもそも、顧客課題は何なのか?本当にお金を払うほど困っているのか?それに対して、提供するソリューションはどのようなもので、本当に顧客の課題を解決して、マーケットに求められているのか?を実現するフェーズごと異なるKSFの達成が非常に重要だと思っています。

これらのフェーズで、エグゼクティブから求めてほしい問は上記のような内容であり、3か年計画や、何年で短黒なのか?という問いではなないです。
下記の記事に纏まっているように、それぞれのフェーズで達成したいGOALを理解した上で、社内起業家を支援していただきたいと思います。

2.予算枠を決めて、当事者のアジャイルな意思決定をサポートすること

特に立ち上げ段階では、顧客に提供して使ってもらった初期のプロダクトや製品を日々アップデートしながら事業を作っていく構造になります。なので、何にコストがかかるかは、毎日変わっていきます。

それを、項目ごとに見積もりを取り、稟議を上げ、決定してもらうという時間のかかるプロセスによって競争力を失わせたり、顧客と事業にフォーカスしたいときに余計な業務に時間を使わせることになります。

社外で起業してVCから投資を受けているスタートアップで、一個一個稟議を上げてVCに許可をもらっているような会社は一社も知りません笑

これでは、競争力を削ぐだけでなく、社内で起業しようとする人の足かせにもなると思います。

3.PL経営ではなく、事業価値経営で投資優先順位を考えること

これもよく聞くお話です。新規事業の立ち上げや社内起業を会社が促進するから、いざ手を挙げて頑張ってみているものの、成長フェーズでも、資金的な投資や、人のアサインがなかなか行われないというものです。

既存事業のトップの役員が、良い人材を新規事業に出すというのが、どの会社でもなかなか難しいのが現状ですし、新規事業投資もなかなか進まないのが現状だと思います。

その際に、会社の運営のマネジメントをアップデートしていく必要があると思っています。
具体的には、どうしても従来のPL経営に引っ張られてしまいますが、個々の事業の事業価値を算定し、事業価値を踏まえて投資優先順位を決めていくというものです。

今回は詳細には書きませんが、例えば、100億の売上、15億の営業利益が出ているが、利益成長は3年であまり見込めない事業の場合、世の中の企業評価も踏まえて、15億×PER5倍で75億の事業価値と算定される。

一方で、新規事業で取り組んだSaaS事業は、売上10億だが、年率の成長率が50%を超えている状況であれば、世の中の企業評価を踏まえて、10億×PSR10倍で100億の事業価値と算定される。

会社の従来の力学で行けば、100億で15億の利益を出している事業から、まだ10億の売上で利益も出ていないようなSaaS事業にエースを投入するのは難しいように感じますが、事業価値を踏まえて全社評価を見直すことで、小さい事業などへの投資や人材投資が加速できるのではないかと思います。

社外で起業した場合では、VCの方々は当たり前に企業価値算定をし、その企業価値に合わせて投資額が決まってきます。
社内の投資基準が上記と大きくずれて、評価されず、投資や人材の投資がなされない場合、そもそも社内で起業する意味はないと優秀な人であればあるほど気づくことになると思います。

僕は、各企業にて、社内起業家が出て、活躍される社会はすごくポジティブですし、支援していきたいと思っています。

そのためにも、自戒の念も込めて、社内起業家を輩出していくためには、
社内エグゼクティブのアンラーニングと新しいラーニングが非常に重要であるとお伝えさせていただきました!

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#日経COMEMO #社内起業家になってやりたいこと

経営戦略、人事戦略、働き方について、自身の経験を通じて得た気づきや学びを書いていきます。フォローしてもらえると喜びます! リクルートにて営業→経営企画室長→広報ブランド推進室長→働き方変革推進室長→リデザインワークを創業+ベーシック取締役COO+情報イノベーション大学客員教授