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「リスキリング」と「リカレント」。あなたは、どちらを選びますか?


リスキリングが政策になる時代

 政府が「リスキリング」を重要な政策として発表しました。私は、何か違和感を覚えています。なぜなら、自然科学者である私は、一生学ぶのは当然であり、その学びのテーマが「国」から指示されることではないからです。
 自分の研究に新しい数学が必要であれば学び、コンピューターで計算したければ、プログラミングを学びます。そして、その学びは、自分の好奇心が枯れない限り続くと思っているからです。

 今回のリスキリングの政策発表を別な視点でとらえれば、それだけ、世界のビジネス環境変化は速く、日本のビジネス・パーソンは、その環境変化対応がよくないかもしれません。それほど、危機的な状況なので、「リスキリング」と、国が号令を出さないといけないのかもしれません。
 しかし、学びは「リスキリング」だけではないのでは。

リスキリングとリカレントの違い

 リスキリング政策の良し悪しは、私は専門外なので、触れません。
 ここで、伝えたいのは「学び」は、「人生を豊かにするもの」です。そして、学びの手法にも、「リスキリング」と「リカレント」のように、さまざま存在します。その学びの手法も、「人生の豊かさ」に関係があることについて、少し考えたいのです。
 GoogleのSGE(Search Generative Experience)では、リスキリングとリカレントの定義を以下のように紹介しています。

  • リスキリング(Reskilling)とは、英語で「スキルを付け直すこと、学び直すこと」を意味します。

  • リスキリングは、個人が自由に好きなことを学ぶリカレント(学び直し)とは異なり、DXに代表されるような組織変革を実現するために行われます。

 そうなんです。リスキリングは、「スキル」が重要に考えられており、そして、あまり自由に学べないのです。あれ、そう考えると、今までの企業研修と、違いがないのではと、多くの人が思うかもしれません。
 リカレントも以下のように、まだ定義が定着しておらず、混同して使われています。

 このように、日本では、ビジネス・パーソンの教育について、過去からさまざま議論されているのですが、なかなか定着した手法が存在していません。
 リスキリング、リカレント、この2つの言葉も、10年後に、「あ、そんな言葉あったね。私、給付受けたよ」などと、昔話になるのかもしれません。
 私が、「リスキリング」と「リカレント」と、2つの単語を持ち出した理由は、「誰が学習したい」のか、「誰が学習させたい」のかという点が異なると、その学びは大きく異なり、「人生の豊かさ」にも違いが生じると考えるからです。

大事なことは、自分の意志で学ぶのか、指示されて学ぶのか

 つまり、誰の意志で学ぶのかという点が、とても重要なのです。
 現在の日本のリスキリングは、「デジタル分野の職業訓練を拡充」と明記されています。この文章は、正解なのでしょうか?
 デジタル分野の人材が増えれば、日本の経済がよくなる保証はあるのでしょうか。私達がデジタル人材になれば、「人生は豊かに」なるのでしょうか?
 そして、「職業訓練」という言葉であり、日本で考えている「リスキリング」は、学びより、「訓練」なのです。
 このように考えると、「デジタル分野の職業訓練を拡充」という文章には、「不確実性」と「リスキリングと異なるレベルの学びが包含」されているのです。
 この不確実性は、誰の責任でもありません。今の時代の一つの特徴なのです。そして、何が正解かわからない時代だからこそ、個人の責任で、自分の学びたいことを学んだ方が、「人生を豊かに」できるのではないでしょうか?
 まずは、自分が何を学びたいのかを考えましょう。受け身の学びより、能動的な学びの方が、自分を成長させることは、皆さんも、知っていいるはずです。
 自分で学びたいことを決めて、積極的に学ぶ。それを、一生続けることが、真の生涯学習なのでしょう。
 そんな、ドラマ、確かに、この間まで見ていました。あれは、職業訓練的なリスキリングではなく、リカレント、自分の意志で学び続け、研究する姿勢でしたね。


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