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何故、在宅勤務で朝からネトフリを観ることを問題視するのか?【日経COMEMOテーマ企画_遅刻組】

夏休みボケをしていたわけではないのですが(そもそも、まだ講義期間中なので夏休みが来ていない)、募集締め切りが過ぎている日経COMEMOさんのテーマ企画に便乗記事を書いてみようと思います。もう、こんなにも遅刻ばかりしていると、提出物遅れて出した学生に対して偉そうなこと言えませんね。今回のお題は「#平日朝からネトフリOKですか」です。

在宅勤務は誘惑がいっぱい

在宅勤務をしていて大変なのが、自宅だと仕事への集中力を奪う誘惑が多いことです。人目を気にせずに、お茶やお菓子を好きな時に好きなだけ食べれてしまいますし、仕事をしながらテレビを付けたり、ネットフリックスで映画やドラマを観ることもできてしまいます。誘惑に負けてしまうと、ついつい仕事をさぼってしまいたくなるでしょう。ちょっと休憩とおもって、動画を観たり、雑誌を手に取ったりすると、気が付けば日が暮れているということもありそうです。そのため、集中力を持続させる工夫を凝らす必要があるでしょう。

さて、それではついついサボってしまいやすい環境となっている在宅勤務ですが、企業や個人はどのように対策を取るべきでしょうか?

貴方の会社の理想の働き方は?

そもそも、なぜ仕事中にネットフリックスを観てはいけないのでしょうか?「仕事中に業務に専念しないなど、けしからん!」という「べき・すべき」論は置いておいて、ファクト・ベースで考えるのであれば、やることさえやっていれば仕事中に動画を観ていても問題がないようにも思われます。

ここで、経営学として出てくる問題は、その企業が従業員に求める理想の働き方がどのようなものかということです。企業が事業目標を達成するためには、ほかの競合他社にはない独自の競争優位を確立させる必要があり、独自の価値観や文化を持った従業員集団が競争優位を生み出す源泉となります。しかし、企業は多様な背景や価値観を持った複数の人間が集まって成り立っています。そのため、企業から従業員に理想の働き方とはどのようなものかを提示する必要が出てきます。

従業員の理想の働き方の提示方法は暗黙的な場合もあれば、明示的な場合もあります。伝統的な日系企業は暗黙的に明示することが多く、「あの人は、トヨタらしいよね」「やっぱり、リクルートっぽいですよね」とふとした時にそれらしさが従業員同士や社外の人と共有されます。

一方、明示的に示されるのは、中途採用が多かったり、外国人人材の採用を積極的に行っている企業でよく見られます。そこでは、従業員価値提案という「自社で求めている人は、こういう要件を持った人ですよ」という構成要素が一覧として提示されます。例えば、Googleでは「10の事実」という形で広く公開しています。日本でも、ジョブ型雇用への転換を全社的に取り組んでいくと宣言している日立やKDDIで取り組みが進められています。

理想とする働き方と「平日朝からネトフリ」の関係性

理想とする働き方が、成果を重視しているのであれば、その間のプロセスとしてネットフリックスを観ていても問題はありません。そもそも、タイトなスケジュールで能力を100%発揮しないといけないようなプロジェクトに携わっていると、仕事中にネットフリックスを観て、気付いたら夕方になっていたという状況には陥らないことでしょう。仕事の忙しさと危機感、責任感が怠業を許さないためです。

一方、高品質な製品を創り出す製造業のように、業務プロセスにおける精緻さと誠実さが重要な業種の場合は、直接製造工程に携わらなくても自らを律するような働き方が求められるでしょう。そのような真摯でストイックな価値観が、その企業の文化を創り、競争優位を生み出すためです。このような企業では、在宅勤務でもネットフリックスを観るような働きかたを許容することはリスクがあります。

理想の職場をメンバー全員で作り上げる

一般的に、定型的な業務が少なく、創造性が求められる仕事は成果と時間の間に相関がないと言われています。イメージしやすいのは漫画家でしょう。時間をかけたからと言って、良い作品ができるわけではありません。このような仕事だと、時間よりも創造性を刺激するような環境を創り上げることの方が重要だと言われています。

例えば、刺激的なコミュニ―ションがとれる同僚や上司がいること、知的好奇心を掻き立てる情報源があること、オフィスデザインや職場環境がしっかりとデザインされていることなどが、個人の創造性を高め、イノベーションを生み出すと言われています。

在宅勤務をするのならば、まずは自分たちの職場がどのような理想の働き方を望んでいるのか、どのような文化を持ちたいのかについて腹落ちするまで考え抜くことが必要でしょう。その上で、「やることやっているなら、在宅勤務中の働き方に口を出さないよ」「在宅勤務でも気を緩めてはいけない」というように職場内のルールを作るのが理想と言えるでしょう。

少なくともしてはいけないのは、上司や個人の頭の中だけで「働くとはこうあるべし」という殻をつくってしまうことです。そうすると、その「こうあるべし」にそぐわない同僚や部下、上司のことが「信じられない」と驚きと不信に繋がってしまいます。これでは、部署として成果を出すのに負の影響を及ぼしてしまいます。健全な在宅勤務として成果を出すために、まずは「理想的な働き方」について職場単位で話し合うことから始めてみては如何でしょうか?


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