安い日本で「外国人が働きに来ない」の誤解
日本は「選ばれる国」でいられるか アジアで見た現実 連載「外国人材の故郷から」まとめ読み - 日本経済新聞 (nikkei.com)
昨年6月末時点の日本に在留する外国人の数は322万人と過去最高を更新しました。総人口に占める割合は2.6%程度と着実に増加しています。少子高齢化が一層深刻になる中、外国人労働者は欠かせない存在になっています。そして、政府は技能実習の抜本改善や特定技能の拡大等、外国人材のさらなる積極的な受け入れへと舵を切りつつあります。
在留資格別では、永住者が88万人で最も多いことがわかります。次いで技能実習が36万人、技術・人文知識・国際業務が35万人、留学が31万人、特別永住者28万人となっており、永住型トータルでは116万人と外国人材の3分の1以上を占めていることになります。日本は労働移民の年間受入数も国際的に多く、永住型率も高いことからすれば、日本は永住型の移民を多く受け入れていることになります。
直近23年10月時点で、外国人労働者数は初めて200万人を超え、伸び率でみても12.4%と前年の5.5%から6.9ポイントも上昇しています。国籍別シェアでみると、最多はベトナムの25.3%、次いで中国の19.4%、フィリピンの11.1%。増加率が大きい国としてはインドネシアの前年比+56%、ミャンマーの同+49.9%、ネパールの同+23.2%となっています。在留資格別の伸び率を見ると、専門的・技術的分野の在留資格者が前年比+24.2%とトップとなっており、労働者数のシェアでも身分に基づく在留資格の30.1%に次いで第二位の29.1%となっています。
日本が安くなることで外国人が働きに来なくなるという考えには誤解があり、むしろある程度日本に一人当たりGDPがキャッチアップすることで日本に来る外国人が増える関係があります。しかし、そのキャッチアップの程度が行きすぎてしまうような状況になれば、日本に来る経済的メリットは低下するため、現時点で増えている外国人労働者に積極的に活躍してもらうことで、日本の一人当たりGDPを伸ばし、新興国に対するある程度の優位性を維持することも必要でしょう。
高度人材の受け入れについては、日本の言語や文化に馴染む期間がある留学生の受け入れ拡充も有望でしょう。しかしそのためには、日本もより一層柔軟な採用時期やプロセスを支える公的な制度の拡充を官民が協力して推進する必要があるでしょう。外国人材の東京一極集中を防ぎ、地方創生に生かすためには、地方に特区を設けて積極的に外国人材を集めること等も検討に値します。