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社員とフリーランス

こんにちは、富永朋信です。

昨日はこのお題に乗っかって「正社員と契約社員」について記しましたが、今日は「社員とフリーランス」について、考えてみたいと思います。

働き方としての、社員とフリーランスの差異はどこにあるのでしょうか?

まず直感されるのは、「フリーランスは全部自分でやらなければならない」「個人事業主よりも企業の方が安定している」というような事柄ですが、これは正しいでしょうか。

企業というのは、経理、営業、マーケティングなど職能別に組織が構成されていることが一般的で、ビジネスプロセスごとに仕事が区切られています。ので、営業の人は営業業務だけやっていても他部署で伝票処理などをしてくれるので仕事が回る訳です。

一方でここのところ、会計や税務などをアウトソースするサービスやアプリが増えてきています。CMO(最高マーケティング責任者)やCDO(最高デジタル責任者)のアウトソース、といったサービスまであります。

これにより企業の部署がまるごと外注されたり、ということも起こりうる状態になっており、大局的にはその方向に向いているように思われます。

こういったサービスは小規模な事業者が使えるものもあり、フリーランスは全部自分でやらなければならない、ということは最早当てはまらないのではないか、という感じがします。

安定についてはどうでしょうか。大きな会社が安定しているように感じられるのは大きく(1)顧客を多く抱えており、失注のリスク分散が出来ている(2)多くの社員がいるので、収益を均等に配分することにより収入が安定する、という構造によるものでしょう。

しかし考えてみればこれらも、特定の顧客への依存度が高い企業はリスクが高いし、フリーランスは失注による収入減もある代わりに受注増による収入増も享受できるので、どちらが有利という話ではないように感じます。フリーランスのビジネスの変動を保証する保険のサービスも出てきているようです。

それでは、社員とフリーランスの本質的な差は何でしょうか?

フリーランスを主語に語ると、筆者には、

フリーランスの良いところ:高いオートノミーがある(自分で仕事に関する意思決定を全て出来る)

フリーランスのつらいところ:全ての責任を最後まで自分で負わなければならないところ

なのではないか、と思います。つまり社員の良いところ、悪いところはこの逆になる、という次第。

これをベースに社員とフリーランスを対比してみましょう。

「全ての責任を最後まで負う」のは会社員も一緒である、と読者は思われるかもしれませんが、会社員には辞任・辞職という責任の取り方があります。これは何か不手際などにより会社に損失を出したとしても、個人的な補償を求められることなく、そのポジションを辞せばチャラに出来るということであり、個人事業主が負っている責任とは質が違います。

この観点から、企業というのは、個人では責任が負いきれない大きなリスク(およびその対価としてのリターン)を、実態が曖昧な「組織」に負わせる形で、ダイナミックな判断をするための装置である、と言えます。

そう考えると、企業の中で忖度やグループシンクが横行するのが、どれだけ勿体無いことか改めて痛感されます。それらは会社というものの存在意義を否定するような行動だ、ということですね。

こう記すとフリーランスはリスクが大きい割り損な働き方であるように感じます。しかし人が仕事をする目的は、お金の獲得よりも、それより一段上位概念である「より幸せになること」にあると考えると、高いオートノミーがあるというフリーランスのメリットは何物にも変えがたい価値なのではないでしょうか。

人は何かが上手くいかない場合も、それが自分の意思決定によるものであれば、そう不幸せにならないものです。逆に他人に強いられ、自分の思い通りに出来なかったことによる後悔の大きさたるや。

また、正社員=会社のメリットが本質的には「責任が分散可能なことによりダイナミックな意思決定が出来ること」であるとは言え、人間のネイチャーから実際の会社組織では忖度や集団思考が起きがちであることは上に指摘した通りであり、そのメリットが享受できる良い環境は意外に多くないように思われます。

社員/フリーランスがどう変わるか、というお題に立ち戻ると。

前述したように現代は様々なサービスやアプリの出現により、職能や組織のフォルムが解体・再構築されつつあります。ですので、企業にしろフリーランスにしろ、この潮流に乗った専門性の高いサービスを持っている者が台頭するでしょう。

そしてその「潮流に乗ったサービス」は常に変化するので、どこか・誰かのポジションが安定的、ということはなく、常に新しい者がチャンスを掴み、台頭してくるでしょう。

社員・フリーランス個人として幸せをどう増やすか、という点について言えば、社員にしろフリーランスにしろ、そのメリットを活かすことを意識することが重要だと思います。

つまり、社員であるならば忖度したりグループシンクしたりしないこと、フリーランスであるならば、やりたいことは何かを常に自問自答し、それをやり切る、ということです。


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