野村恭彦(Slow Innovation代表 / KIT虎ノ門大学院教授)
働くとくらしは、また一つになっていく〜「くらし方」がキャリアになる時代
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働くとくらしは、また一つになっていく〜「くらし方」がキャリアになる時代

野村恭彦(Slow Innovation代表 / KIT虎ノ門大学院教授)

オフィスが減っていく

オフィスは、何のためにあるのだろうか?そんな純粋な疑問をコロナ禍以前には、われわれは持ったこともなかった。しかし今、ほとんどの社員の自宅には、会社と同等もしくはそれ以上のパフォーマンスのWIFIとパソコンがある。

次の記事では、リモートワークが一部の先進企業の取り組みというわけではなく、全米に広がっていること。さらにそれは一時的なものではなく、コロナ禍からレストランが戻っても、もうオフィスが以前のように戻ることはない、と予測する。

自宅は広くなる

では、オフィスが減って、人々はどこにいるのだろうか?もちろん、多くの人が自宅に閉じこもっている。

次の記事は、コロナ禍で変化した住宅ニーズとマンション賃料の高騰があるという。テレワークが浸透する中で、最寄り駅に近いマンションを選ぶ動機がやや薄れ、駅から遠くても執務環境を整えやすい間取りの広い戸建てを選ぶ人が増えているというのだ。

働く場所とくらす場所が近づく

あれほどまでに溢れかえっていたオフィス街から人がいなくなり、多くの働き盛りの人たちが家にいる。

保育園に子どもを送り、9時に家に戻ってオンラインワークを始める。昼には買い物に行き、料理をつくる。18時近くまでじゅうぶんに働いて、また保育園に迎えにいく。子どもとゆっくりご飯を食べてから、さて19時から何をしようかと思うくらいに、時間に余裕が生まれる。子どもと近所の散歩に出かけてもいいし、研究や趣味に取り組んでも構わない。

このようなくらしに、通勤地獄の前後の保育園への送り迎えしていたときのような悲壮感はまったくない。それは、働くとくらしが、いま再び一つになったからだ。

わたしたちのくらしは、もともと働くことをその一部に含んでいた。農業を家族で営んでいれば、忙しいときは総出で働き、閑散期はみんなでゆったりする。それが工場労働から始まり、その延長でつくられたオフィス文化は、あたかも工場のラインのように机を並べて、労働者をオフィスに集めてしまった。

そして今、コロナ禍がきっかけになり、そこに仮想空間の技術が押し寄せることで、「どこで働いてもいい環境」が一気に整ってしまった

もう「働く場所とくらす場所」を分ける意味はない。というよりも、そもそも働くとくらすが分離していた時代というのは、人間の歴史のなかで、ほんの一瞬に過ぎなかったのだ。

くらしのなかに働くを組み込む

働くとくらすが分離していたとき、電化製品に期待することは、「家事の短縮」であった。コロナ前は、共働きを救うのは時短家電であると、多くの人が信じて疑わなかっただろう。

だがいま、働くを含んだ「広い意味でのくらし」には、もっともっと限りない自由度がある。仕事も副業が当たり前になり、在宅勤務や仮想空間での仕事、そして料理や子育ても、職業ワークと同じく並列に並ぶ「働くの一つ」に数えられる。

そうなると、「職業ワーク」が自分の生活スタイルを規定するということでもなくなりそうだ。「在宅、仮想空間、オフィス、料理、子育て、趣味」などを含んだ「くらし」というもののスタイルがもっとも重要になる。そうなると、職業だけを通してキャリアを語る時代は過ぎ去るのではないか。くらし方がキャリアそのものになる時代がもうそこまで、きているのではないか。

これからは、もっと積極的に「くらそう」。

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野村恭彦(Slow Innovation代表 / KIT虎ノ門大学院教授)
「渋谷をつなげる30人」「京都をつなげる30人」などを数年間続けてきて、イノベーションは「スローフード」のように、プロセスを大切にし、人と人との関係性をつくり、小さな変化がさざ波のように社会を進化させていく「スローイノベーション」に向かっていくのだと実感しています