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社会のオンライン化と信用スコア

新型コロナウイルスとの共存を考えなければならない状況を迎えて、これまでオフラインで開催されてきたイベントがオンライン化されることが様々な分野で目立ち、定着しつつある。この記事によると婚活といったイベントでも、今ではオンラインで開催されることが出てきているということだ。

感染者数が再び増加傾向に転じてきていることもあって、かつてのように人々が自由に外出できる状態にはなっていない。この状況がいつおさまるかのめどが立たない中、自由に外出できることを待ち続けることが、ビジネスの面でもまた個人の生活の面でも出来なくなってきている。そうであれば、オフラインと全く同じようにはできないかもしれないが、代わりにオンラインでやる方法を模索することは今後も続いていくのだろう。

その際にネックとなることの一つは、 オンラインであるために、オフラインの時と違って相手の雰囲気や様子を十分に掴みにくいため、その人が果たして信用に足る人なのかの判断が、一層つきにくいことだ。

特に、婚活のような相手の人と結婚するかどうかといったことを考える場合に、相手が信用に足りる人なのかどうかということは、とても大きな焦点になるだろう。

こうした場合に、いわゆる信用スコアが役に立つ可能性はあるのだと思う。もともと、中国で信用スコアの活用がされるようになり、日本でも報道されるようになってきていたが、これは新型コロナウィルスの問題が起きる以前のことであった。

コロナ禍でオフラインの交流ができにくくなっている中、いわゆるビフォーコロナにも増して、こうした信用スコアが役立つ場面が出てきている、と言えるかもしれない。

ところが、日本では信用スコアの開発と活用はなかなか前に進まず、この記事にもあるように Yahoo! は信用スコアの提供を辞めることにしてしまった。

もちろん、信用スコアには様々な問題があることもその通りだと思う。個人のプライバシーや個人情報保護の問題、悪用・乱用されないかといった問題など、様々に解決するべき問題があることは間違いがない。またそうした問題の複雑さが、信用スコアの開発と活用が前に進まない理由にもなっているのだろう。加えて、記事にもある通り初動を誤ったという点も大きい。

だが、考えてみると、信用スコアという形ではないが、例えば学歴であったり職歴といったものは、その人の信用度や信頼度を判断する指標としてこれまで日本で一般的に使われてきている。それだけに、特に著名人の学歴詐称や経歴詐称といった問題が取りざたされることも少なくなかった。
こうした詐称の問題がありながらも、履歴書に学歴や経歴・職歴を記載させ、採用などの判断に用いられていることを考えるのであれば、同じような形で、何らかの信用スコアを活用できる余地は残されているのではないかと思う。

もちろん十分に社会的な議論が行われた上で活用されることが大前提ではあるが、限定的な目的かつ限定的な場面において、相手の信用度を一定の範囲で確かめる目的で信用スコアが使われることは、オンラインがニューノーマルとなる時代にあっては有効なことなのではないだろうか。

そして、こうした尺度が定着することで、新たなサービスが生まれ育ち、オフラインとオンラインがシームレスな関係となる新たな社会の形の進展に寄与するメリットもあると思う。

日本の社会に受け入れられる信用スコアのあり方の模索を、ここで放棄してしまうのは、ちょっともったいない気がしている。

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