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想像を越えろ!これからのお店のあり方

Webサービス KATALOKooo(カタロクー) 代表の翠川です。Webサービスを事業にしていますが、元々は「お店」のバリバリ現場出身。現場で店長をした後、ブランドの複数ある店舗の販促企画を担当していたくらい、会社員時代は1200%店舗のことを考えて企画をし続けていました。その経験を生かして、店舗の内装からオペレーションまで含めたブランディングをする仕事をしたりしています。Webの事業をしているのも、お店の特性・お店には不得意な点を痛いほど痛感して、両立・共存して伸びていくためです。

インターネットが普及したことに一番影響を受け存在感が薄れつつある「お店」。ECが当たり前のインフラになったあたりから、お店のことをいつしか「リアル店舗」というようになりました。今やリアル店舗というのは、どうしても持たなければならない理由がある場合以外手を出すことはおすすめできない事業。

それでもまだまだ星の数ほどお店があり、中には人々にさまざまな価値を提供し続けているお店もたくさんあります。いつかお店を開くことが夢!という人も多くいるでしょう。この記事で、これからの時代に求められるお店について考察してみたいと思います。

ショールーム・サードプレイス・受取窓口

ECが普及してから、リアル店舗はよく「進むショールーム化」と言われたりしています。また、家でも職場(学校)でもない居場所「サードプレイス」をキーワードに、ショッピングモールなどでは飲食・サービス頼みのリーシングが目立つようになりました。さらにもう一つの用途として、ECで購入した商品の「受取窓口」として、リアル店舗が使われるケースも多いようです。

実際こういった用途だけに集約していくと、何が起きるのでしょうか?

欲しいものをECでリスト化し、ショールームに確認に行くだけの人が増える
→顧客はあらかじめ狙ったものにしか出会えなくなり、なんとなく横に広がって物を知るという行為が生まれなくなります。

ネット上の画像(もしくは動画)と文字での情報閲覧で満足する人が増える
→実際に見てもいない商品を知っている気になる人が続出。経験でしかセンスは磨かれないので、センスが均一化していきます。

サードプレイス以外は、便利と効率を考え無人化した店舗ばかりに
→人と会わずに買い物を済ませることで、顧客は自分の知見を越える買い物はできなくなります。

このままだとセンスが磨かれるチャンス、物を選ぶ楽しみ皆無…!

これは問題です。どうしたら良いのでしょうか。

今までのお店の役割を、インターネットがより便利に効率的に担うのであれば、インターネットでは叶わない部分を伸ばして行くこと。
インターネットに大部分の役割を奪われてもなお残る役割で、より一層「お店」の個性を発揮していくことが重要なのではないでしょうか。

例えば、アップルはこう。

それぞれの接点での顧客体験を考えたうえで、アーレンツ氏は店舗を「タウンスクエア(街の広場)」として再設計すると決めた。

現在、サンフランシスコのアップルには、MacもiPhoneもなく、ただ広場になっている。ショールームでも、サードプレイスでも、受取窓口でもなく、広場。これが何を意味しているのでしょうか。

今後のお店の役割は、下記3つのポイントだと考え、リアル店舗の例への雑感とともにまとめていきます。

ポイント①想像を越える展開があるか

商品も、空間も、コンセプトも。訪れる者の、訪れる前に想像していたモノや空間が広がっているのではなく、想像を越えた知見を都度与えてくれる場所であるべきでしょう。
「想像を越えてくる」には、未知との遭遇という意味も含まれています。例えば消耗品の購入は、ネットショップでは必要なものしか買わず無駄遣いしなくて済むという利点がありますが、もはや買い物というよりは発注。スーパーにいけば何も考えていなくても新しい商品との出会いがある。余計なものを買ってしまうこともありますが、本来はそれこそが買い物の醍醐味ともいえるものです。

例えば、地方のセレクトショップ
店主の世界観の展開が、想像を越えてくる。センスの塊でありなおかつ、お店を丁寧につくりこんでいる。特に地方で展開しているショップは、都内のそれよりも時間の配分の違いからか、ECやIGからもその丁寧な趣向が伺える。提案したい世界観を楽しむことができる。一度訪れた後、しばらく訪れない間にもちろんショップ側のセンスがどんどん更新され、訪れる度発見がある。

例えば、大型書店
Amazonの普及により、多くの大型書店が閉店になってしまったが、やはり大型書店はいい。本屋でのこれ!と決めた1冊から関連図書への脱線は必要。子供達が見る参考書なんかは、同じような内容の2冊を比べて見比べらべ自分に合ったものを選べるし、ネットで見ていたら見つけられなかったような良書との出会いが書店には必ずある。老若男女集まる書店は、街に良い影響を与えているとすら思える。

例えば、道の駅
未知との遭遇という意味では、道の駅の地域の特産物のコーナーは、絶対に失われるべきではない価値がある。並びでその地域のことがわかるし、自分に馴染みのある地域を常識と思っていると、大体は想像の斜め上をいった物に出会うことができる。

ポイント②五感を伴う経験ができるか

インターネットでは絶対できないこと、それは五感を伴う経験です。飲食やサービスが元気なのは、五感に、人間の体に直接関わることだからでしょう。そのほかにも五感にどうしてもこだわらないといけないのは、消費者のセンスが均一化していくというのは、小売業を営むものとしては恐ろしい問題だからです。経験することでセンスは磨かれ、蓄積されていきます。

例えば、ハイブランドの空間づくりでの圧倒的体験(嗅覚 聴覚)
店舗に訪れると、整った雰囲気に背筋が伸び、そのブランドの香りが記憶に残る。空間で得た圧倒的な体験が、ブランドのイメージの奥行きを記憶に残す。アップルが広場を作っているのはまさにこれ。

例えば、質のいいメゾンやレストランで得られる圧倒的質感(触覚 味覚)
ネット上の上手く撮影された画像で見たら50万円の服も5万円の服も5000円の服も同じに見える。見えるように撮れる。でも、手に取ればわかる。口にすればわかる。圧倒的質感に対する目利きは、どうやってもリアル店舗で経験を重ねるしかない。そして、それがその人のセンスとして蓄積されていく。

例えば、コストコ、イケア、無印良品で見られる圧倒的物量(視覚)
ネット上だと、圧倒的物量を感じることはない。奥行きのある陳列には、小売の本気を感じさせることができるし、買い物欲が湧いてくるものです。圧倒的物量に安心する人も多いのではないでしょうか。

ポイント③好きな人に会える場所か

世界中どこにいてもwifiさえあればオンラインMTGができるようになり、VRも進んでいますが、やっぱり好きな人には直接会いたいはずです。私たちが人間であって身体という物体がある限り、顔をあわせる良さはどうしても否定できません。

例えば、レストラン
友達や恋人、この人とだけはVRではなくて直接会いたい、直接触れたい、そういう人たちといきたいレストランになれるのかどうか。

例えば、店主・シェフ
そのお店をやっている、店主・シェフその人自身が好きだ、会いたい。仲良くなりたい。そういった人が大勢いるお店は、もはや一番お店として価値があるといえる状態でしょう。

例えば、バー
いつもの自分とは違う、ここにしかない関係、を求めるパターンもある。今の時代こういった関係性も尊いものです。

「お店」はオワコンではない

インターネットの普及のあおりを受けた「お店」。色々なところで、お店がこれからどうなっていくのかという議論を呼んでいます。でも、お店がなくなるというのは絶対にあり得ないのです。オワコンなんかじゃない。ECはECの良さ、リアル店舗ではリアル店舗の良さをより一層際立たせ合い、共存していくべきです。規模が大きく小回りの効かない大手はまだその変化に対応しきれず業績が右肩下がりなのは否定できませんが、私たちの体が物理的にそこにある以上、完全におわったコンテンツになることはありません。なんとなく、中途半端に続けるのが無理になっただけで、それは他の業界でも同じ現象が起きる時代になっただけのことだと思います。お店でしかできない唯一無二の存在になるため、頑張って行く時期にさしかかっています。

上記であげたポイントのどれか、もしくはいくつかで突き抜ければいいのです。そういった濃度の濃いお店が増え、インターネットと共存すれば、先に挙げたような問題点が現実になることはないでしょう。

お店を営んでいる人は、自分のお店はどうですか?これからお店をやりたい人は上記に当てはまる自信がない場合は、やらない方がいい。お店でしか体現できない部分を伸ばして行く存在になる以外残っていける道はありません。

インターネットとは完全に分業された「お店」が、行く度に想像を大幅に更新してくれ、五感を刺激し、センスという経験を積ませてくれる。そして好きな人に会える。それをめがけて、人が集まってくる。そんなお店ばかりになる未来であれ!

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うれしみが深いです
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翠川裕美( Webサービス KATALOKooo 代表 )

株式会社シロアナ/株式会社モンキーブレッド代表 現在、KATALOKooo(カタロクー)というWebサービスをやってます。KATALOKoooは新しいカタチの「カタログ」。創作活動を仕事にしている人をサポートする仕事を作っています。 販促企画から小売オペレーションも作ります。

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